ドバイ不動産の華やかなイメージに惹かれ、ドバイの不動産投資に参入する投資家は少なくありません。一方で、期待した成果を得られず、「失敗した」という声も多く聞かれます。
ドバイは国際都市として発展を続け、魅力的な投資先であることに疑いはありませんが、リスクを十分に理解せずに参入すると、大きな損失を被る可能性があります。今回は、典型的な失敗事例と主なリスクを整理し、投資で成功するための具体的な戦略を解説します。
ドバイ不動産投資で失敗する理由とは? 5つの典型的な失敗事例
ドバイ不動産投資には貴重なチャンスがある一方で、失敗事例も散見されます。ここでは、代表的な5つの失敗事例を紹介します。
- 事例1:詐欺案件に巻き込まれた
- 事例2:無税と思い込んだが高額の税金が発生した
- 事例3:デベロッパーの破綻でプロジェクトが中止になった
- 事例4:短期賃貸規制で民泊運用が不可能になった
- 事例5:円安と金利上昇によってローン返済額が急上昇した
事例1:詐欺案件に巻き込まれた
海外不動産投資にありがちな失敗の一つが、悪徳エージェントや不正なデベロッパーに騙されるケースです。架空の物件を販売したり、同じ物件を複数の投資家に二重譲渡したりする事例が実際に報告されています。その過程では、架空の物件パンフレットや、偽造された登記書類が提示されるケースもあります。
対策として、ドバイの不動産規制機関であるRERA(Real Estate Regulatory Authority)にエージェントが登録されているかを必ず確認する必要があります。不動産売買契約や登記に関しては、現地の弁護士や信頼できる日本人エージェントを通じて厳正に確認しましょう。
事例2:無税と思い込んだが高額の税金が発生した
「ドバイは税金がかからない」と誤解して投資した結果、実際には日本の課税制度により高額な税金が発生してしまったというケースもあります。
ドバイ自体には所得税やキャピタルゲイン税が存在しません。しかし、日本に居住している限り、日本の税制が適用されます。不動産から得られた家賃収入や売却益は日本で課税対象となるのです。
投資家の中には、ドバイで得た収益は完全に無税だと誤解していたために、予期せぬ追徴課税を受け、大きなダメージを負ったケースも見られます。ドバイ税制のメリットを享受するためには、日本の非居住者になる必要があります。
事例3:デベロッパーの破綻でプロジェクトが中止になった
ドバイでは建設前の物件、オフプラン物件の取引が盛んに行われています。完成前に購入すれば割安で取得できるため、多くの投資家が魅力を感じる投資手法です。
オフプラン物件の取引には、デベロッパーの破綻リスクがあります。開発途中でデベロッパーの資金がショートして工事が中止された結果、物件が完成しないまま終わってしまうケースも実際に存在します。
ドバイにはこうしたリスクに備えて、投資家保護のための「エスクロー制度」があります。エスクロー制度とは、オフプランで集めた購入代金をプロジェクトごとに開設された専用のエスクロー口座に入金し、工事の進捗に応じて段階的に支払いを解放する仕組みです。
同制度は強固な資金分別と透明性を担保しますが、すべての損失を無条件に補填する「保険」ではありません。投資する際には、デベロッパーの財務状況や過去の実績を調べる必要があるのです。
事例4:短期賃貸規制で民泊運用が不可能になった
観光都市として知られるドバイでは、Airbnbなどを利用した短期賃貸(民泊)運用が人気を集めています。高い稼働率を期待して物件を購入した投資家も多いのですが、政府の方針転換により「ホリデーホームライセンス」の取得が義務付けられました。
物件によっては、管理組合の規約で民泊禁止となっている場合もあります。短期賃貸が制限されたことで、収益モデルが崩壊する事例が相次ぎました。
ドバイ政府は観光業を重視する一方で、住宅市場の安定も重要視しており、規制が変更される可能性があります。こうしたリスクを前提に、長期賃貸運用への転換や複数の出口戦略を用意しておく必要があるのです。
事例5:円安と金利上昇によってローン返済額が急上昇した
ドバイの通貨ディルハム(AED)は米ドルにペッグされています。そのため、円がドルに対して下落すると、ローン返済額の負担が増加します。さらに金利上昇が重なると、キャッシュフローは急速に悪化し、返済不能に陥る危険性があります。
日本から資金を持ち出して投資する場合、為替の変動は投資成績を大きく左右します。為替リスクを軽視して資金計画を立てた結果、返済が追いつかなくなった事例は後を絶ちません。
ドバイ不動産投資の主なリスク
ドバイ不動産投資の成功を目指すためには、特有のリスクをあらかじめ理解しておきましょう。表面的な「高利回り」や「無税」といった魅力に惑わされず、潜在的なリスクの把握が長期的な安定収益につながります。ここでは、ドバイ不動産投資の主なリスクについて解説します。
- 市場価格変動リスク
- 為替変動リスク
- 法務・税務リスク
- 物件管理コストの上昇リスク
市場価格変動リスク
ドバイ不動産市場は成長が期待される一方で、過去には大きな価格変動を経験してきました。2008年のリーマンショック直後には「ドバイショック」と呼ばれる不動産の暴落劇が発生し、一部の物件では価格が半分以下にまで下落しました。高値で購入した投資家は、長期にわたり含み損を抱える結果となったのです。
ドバイは観光業や物流、国際ビジネスの拠点として発展を続けていますが、その成長は世界経済の動向と密接に関係しています。原油価格の変動や米国の金利政策、地政学的リスクなど、国際情勢によって投資環境は大きく揺れ動きます。
市場のサイクルをつねに意識し、世界経済の動向を注視しながら投資戦略を柔軟に見直すことが重要です。
為替変動リスク
ドバイ不動産に限らず、海外投資で避けて通れないのが為替変動リスクです。ドバイの通貨ディルハム(AED)は米ドルにペッグされています。そのため、円安が進むと日本円からの送金額が膨らみ、購入時の負担が増すだけでなく、ローンを組んでいる場合は返済額も大きく跳ね上がります。
為替が1ドル=100円から150円に変動した場合、同じ返済額でも日本円換算では1.5倍の負担となります。収益性を考慮したはずの投資計画が、一気に赤字へと転落する可能性すらあるのです。
為替リスク対策としては、為替予約や分散投資などの工夫が考えられますが、完璧な対策は存在しません。最終的には、為替差損を吸収できるだけのリターンを獲得できるかがポイントとなります。
法務・税務リスク
ドバイの不動産は、日本とは異なる法律体系や商習慣のもとで取引されます。契約書は英語かアラビア語で作成され、専門的な用語や条項を誤解したまま署名すれば、後に不利な条件で拘束されるリスクがあります。実際に、登記や所有権の取り扱いを誤解し、トラブルに発展した事例も少なくありません。
日本居住者である限り、海外不動産で得た所得は日本で課税対象となり、確定申告が義務付けられています。国際税務に詳しい税理士と相談して準備しましょう。
物件管理コストの上昇リスク
ドバイでは「サービスチャージ」と呼ばれる物件管理費用が存在し、これが投資収益に影響を与えます。新築時は低めに設定されていても、数年後には大幅に引き上げられるケースがあり、投資家にとって予想外の負担となります。
プールやジム、24時間セキュリティがある高級物件の付帯サービスは、入居者にとって魅力的である反面、維持管理には多額のコストがかかります。修繕費や設備更新費が想定以上に発生すれば、キャッシュフローは簡単にマイナスに転じてしまうのです。
管理会社によるサービスの質や透明性もまちまちで、「思ったより維持コストが高く、利回りが悪化した」という声は少なくありません。購入前に管理費用の見積もりをしっかり確認し、長期的な収益シミュレーションを行うことが必須です。
ドバイ不動産投資の主なメリット
リスクがある一方で、ドバイ不動産投資には他国では得られない魅力的なメリットもあります。ここでは、ドバイ不動産投資の主なメリットを解説します。
- 高利回りの家賃収入が得られる
- 不動産価格の上昇が期待できる
- 圧倒的な税制優遇制度がある
- 不動産購入で長期滞在ビザが取得できる
高利回りの家賃収入が得られる
ドバイは観光客や移住者の増加が続いており、賃貸需要が旺盛です。そのため、世界的に見ても高い水準の利回りを期待できます。実際に主要エリアの物件では5〜9%の運用利回りを狙えるケースもあり、これは東京やニューヨークと比較しても高水準です。
不動産価格の上昇が期待できる
中東のハブ都市として成長を続けるドバイでは、都市開発と人口増加により中長期的な不動産価格の上昇が期待できます。空港拡張やメトロ・トラム整備といった大型インフラプロジェクトは、周辺エリアの不動産価値を押し上げる要因となっています。短期的には価格変動があるものの、長期で見れば成長余地の大きい市場です。
圧倒的な税制優遇制度がある
ドバイには所得税やキャピタルゲイン税(譲渡所得税)が存在せず、投資家にとって非常に有利な税制が整っています。これは世界的に見ても珍しい特徴であり、日本のように税負担が重い国からの投資家にとっては大きな魅力です。
前述のとおり、ドバイ税制の適用のためには日本の非居住者となる必要があることには注意が必要です。
不動産購入で長期滞在ビザが取得できる
一定額以上の不動産投資を行うことで、長期滞在ビザを取得することが可能です。ビジネスや生活拠点としての利便性が高まり、資産形成と同時にライフスタイルの幅を広げる効果もあります。
ドバイの不動産投資での失敗を回避するためのカギ
最後に、実際に成功している投資家が実践している、失敗を回避するための戦略を3つ紹介します。単なる「心得」を超えて、意思決定や契約実務に落とし込めるレベルまで具体化し、再現性の高いリスク管理を目指します。
- 戦略1:信頼できるパートナーを見つける
- 戦略2:最新の情報収集に注力する
- 戦略3:長期的な視点を持つ
戦略1:信頼できるパートナーを見つける
ドバイ不動産投資では、信頼できる現地パートナーの存在が成功の大きなカギとなります。日本語でサポートしてくれる現地エージェントや、RERAに正式登録された仲介会社との取引はリスク軽減につながるのです。
ただし「日本語が通じる=信頼できる」ではありません。最初の面談では、担当者個人のブローカー番号や会社のライセンス、直近の引き渡し実績、過去クライアントの紹介可否、手数料体系と成功報酬の範囲、預り金の保全方法などを文書で確認しましょう。
デューデリジェンス(適正評価)を徹底し、契約書や登記書類は必ず専門家に確認してもらいます。オフプランの売買契約では、支払スケジュールが工事進捗連動になっているか、エスクロー口座の銀行名・口座番号・プロジェクト名が正確かなどを点検します。物件購入後の管理運用においても、管理会社とはレポート頻度や解約条項、広告出稿チャネルまで合意しておくと齟齬が減ります。
戦略2:最新の情報収集に注力する
ドバイの法律、税制、市場動向はつねに変化しています。そのため、最新の情報を入手し、立地や需要の変化に応じて柔軟に戦略を修正することが重要です。現地の不動産会社や政府が発表するデータを活用し、投資判断の精度を高めます。
情報収集は「漠然とニュースを眺める」ではなく、指標を決めた定点観測が肝心です。新規供給戸数と完成予定時期、主要エリアの空室率と実効賃料、為替の変動、政策金利、主要デベロッパーの販売状況、税制改正など、収益に関係する項目を毎月・四半期ごとにチェックします。
戦略3:長期的な視点を持つ
短期的なキャピタルゲインを狙った転売はリスクが高く、必ずしも成功するとは限りません。都市計画や人口動態をふまえて長期的に保有するほうが、安定した成果につながる可能性が高いといえます。長期前提であれば、価格の波に振り回されにくくなります。
建物のライフサイクルにも目配りが必要です。築年数が進むと、エアコンや給排水、外装の大規模修繕といった支出がかさみます。購入前に共用部の積立金や過去の修繕履歴、将来計画の有無を確認し、表面利回りに惑わされない投資計画が立てられます。
長期的な視点とは、「待つこと」ではなく「準備を続けること」です。四半期ごとにポートフォリオを見直し、賃料改定、設備の更新、マーケティングの見直しなど小さな最適化を積み重ねることで、パフォーマンスが改善します。上振れ局面での過度な期待や、下振れ局面での狼狽売りを避け、シナリオに沿った粘り強い運用こそがドバイのようにダイナミックな市場で生き残る道です。
まとめ
ドバイ不動産投資には大きな魅力がある一方で、詐欺、税務、為替変動、規制リスクなど多くの落とし穴もあります。投資の目的とリスク許容度を明確に設定し、信頼できるパートナーを見つけることが何よりも重要なポイントとなるでしょう。
ドバイでの不動産投資にご興味をお持ちの場合は、当サイト「ドバイ不動産投資ガイドfor日本人」までお気軽にお問い合わせください。当サイトでは、ドバイ現地で不動産の情報を収集しており、不動産の賃貸や売買の仲介も行っております。
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