ドバイは、「砂漠の奇跡」とも形容される急激な経済成長によって、世界中から注目を浴びています。世界から資産家や投資家、ビジネスパーソンが集まっているだけあって、ドバイ不動産市場も急成長しています。
ドバイは未来都市のような街並であることからマンションばかりと思われることもありますが、ドバイでは一軒家も注目されています。
では、ドバイの一軒家は一体いくらくらいするのでしょうか?今回は、ドバイ不動産の種類、ドバイ不動産に関する法律、一軒家の平均価格を解説します。
ドバイの居住用不動産の種類
ドバイに限った話ではありませんが、不動産はオフィスや店舗などビジネスに使用する商業用不動産と、人々が生活する居住用不動産に分類されます。居住用不動産は、ドバイでは「アパートメント」と「ヴィラ」に別れます。ここでは、「アパートメント」と「ヴィラ」それぞれについて解説します。
アパートメント
一言でいうと、アパートメント(apartment)は「共同住宅」です。日本では、一般的に「マンション」と呼ばれる建物です。
なお、マンションは和製英語であり、日本でしか通用しません。日本での法律的に正しい表現は区分所有建物です。
アメリカやカナダでは、所有権のある分譲タイプの共同住宅をコンドミニアム(condominium)といいます。賃貸タイプの共同住宅をアパートメントという分類もありますが、ドバイでは分譲・賃貸ともにアパートメントと呼ばれています。
ヴィラ
ヴィラ(villa)は、土地付きの戸建て住宅を指します。つまり、「一軒家」のことです。
日本語では、戸建てタイプの宿泊施設、別荘のようなホテルという語感になりますが、ドバイでは元々の戸建て住宅の意味で使われます。ヴィラにも、所有・賃貸両方があります。
ドバイの不動産に関する法律の枠組み
ドバイの不動産に関する法律的な枠組みも、日本とは異なる点があります。ドバイの不動産に関する法律を知っておかないと、思わぬトラブルに遭遇する可能性があります。
ドバイの不動産には、日本の所有権に相当する権利として「所有権」と「使用権」があります。また、物件の分類として「レディプラン」と「オフプラン」があります。
ここでは、「所有権」と「使用権」、「レディプラン」と「オフプラン」についてそれぞれ解説します。
所有権(Freehold)
ドバイの不動産への所有権(Freehold)は、日本の所有権とほぼ同義です。アラブ首長国連邦と湾岸協力会議加盟国の国民は、ドバイ全域における不動産(土地・建物)の所有権を有します。また、全株主を同国民とする法人も同様の権利を持ちます。
同国民以外の外国人は、ドバイ政府が指定したフリーホールド地区限定で所有権を有することができます。所有者は、所有する不動産を自由に売買、賃貸、相続することが可能です。
使用権(Leasehold)
ドバイには、完全な所有権とは別に、不動産を一定期間使用する権利である使用権(Leasehold)が存在します。
外国人は、ドバイ政府が指定したリースホールド地区において、不動産の使用権を購入することができます。使用権の期間は最長99年で、一般的には99年に設定されています。期間が終了すると、土地所有者である政府または王族に返還されます。
使用権は完全な所有権ではありませんが、使用権の期間内では所有権と同様の使用・収益が可能です。
レディプラン
レディプラン(ready plan)物件とは、レディ(ready)状態にある物件の意味で、完成した物件を指します。建設されて竣工されている物件、すぐに住める物件、すぐに貸せる物件のことです。
竣工してすぐの物件は新築物件、年月が経っているものは中古物件ですが、どちらもレディプラン物件と呼ばれます。
オフプラン
オフプラン(off plan)物件とは、まだ完成されていない新築物件を指します。プレビルド(pre-build)物件とも呼ばれ、海外ではポピュラーな契約形態ですが、日本では認められていない制度です。
なお、オフプランでは、当該物件が竣工日の3~5年前から販売が可能です。オフプランには、次のようなメリットがあります。
- 同グレードの物件がレディプランより安く購入できる
- 分割払いが可能になる
- 値上がりしたら竣工前に売却する投資法もある
同グレードの物件がレディプランより安く購入できる
オフプランの場合、レディプラン物件の同グレードの不動産よりも安く購入できることがあります。
分割払いが可能になる
レディプランの場合、購入時に一括支払いが求められる場合が多くあります。
日本では、自分で居住する際も投資用に購入する際も、金融機関からの融資を活用するケースがほとんどですが、ドバイではローン適用が難しいため、全額自己資金を用意する必要があります。
オフプランの場合、竣工まで分割払いになるケースが多く、契約時に全額自己資金を用意する必要がありません。ドバイでは、半年ごとに10~15%ずつ支払う分割払いが一般的です。
値上がりしたら竣工前に売却する投資法もある
オフプランでは、竣工数年前に購入しておき、値上がりしたら竣工前に売却するという投資方法もあります。人気のあるプロジェクトや、将来値上がりが確実視される物件の場合に採用される投資手法です。
ただし、オフプラン投資には完成前にデベロッパーが倒産するリスクがあることには注意が必要です。
デベロッパーの倒産リスクを低減させるために、ドバイではエスクロー制度というセーフティーネットが採用されています。購入者とデベロッパーの間に公的な第三者が入り、仮にデベロッパーが倒産しても購入者の資金は返金される仕組みです。
ドバイのヴィラの物件価格
先述したように、ドバイの居住用不動産には、日本のマンションに当たる「アパートメント」と戸建て住宅である「ヴィラ」があります。ドバイでは、ヴィラの方がアパートメントよりも高額である傾向にあります。
ここでは、ドバイの不動産情報をレポートしている「DXB Interact」をもとに、ヴィラの物件価格相場について解説します。
sqftあたりの価格
日本では、不動産の価格を示す際、物件価格を面積で除して単位面積あたりの価格を表示します。「平方メートルあたり」、または「坪当たり」の価格を示します。「平米単価」「坪単価」ということばを聞いたことがある方も多いでしょう。
ドバイでは、不動産の単位面積としてスクエアフィート(sqft)が使用されます。不動産価格はsqftあたりの価格として表示されます。
スクエアフィートとは1フィート×1フィートの面積です。スクエアフィートを平方メートルに換算するには、以下の式を使用します。
- 1sqft=0.0929030m2
- 1m2=10.764sqft
DXB Interactによると、2024年のドバイ全エリアの1sqftあたりのヴィラの平均価格は1,397AEDです。執筆時点の2024年10月現在、1AEDは約40円であるため、日本円に換算すると5万5,880円ほどです(※1)。
日本人にわかりやすく「平方メートル」に換算すると、1m2あたりのヴィラ価格は、60万1,492円程度です。一方、日本の注文住宅で平均平米単価を計算すると、全国平均価格が4,319万円であり、平均延床面積が121.3m2であるため、35万6,059円となります(※2)。つまり、ドバイのヴィラは、日本と比べてもかなり高額であることがわかります。
※1:DXB Interact
全体価格
ドバイのヴィラの全体価格を確認してみましょう。
2024年、ドバイ全エリアでのヴィラの平均価格は3,212,000AEDです(※)。日本円に換算すると、1億2,848万円ほどです。sqftあたりの価格も日本と比べて高額ですが、ヴィラの面積が広いため、全体価格は日本の注文住宅のおよそ3倍にもなります。
まとめ
ドバイの一軒家であるヴィラの価格は、日本の戸建て住宅と比べると相当高額です。ドバイでヴィラを購入希望の方は、資金の準備を慎重に行う必要があります。
ドバイは、経済成長に伴って不動産の価格上昇も予想されています。ドバイのヴィラの価格は、まだまだ上がっていきそうな気配があるため、居住のために購入したい方は早めに決断した方が良いと考えられます。
また、キャピタルゲイン(売却益)も見込めるので、投資目的の人にもドバイのヴィラは非常に有望だといえます。
ドバイで不動産投資を検討する際は、信頼できる専門家にご相談ください。みなさんの投資が成功し、豊かな資産形成につながることを心よりお祈りしています。