驚くべき経済成長を遂げているドバイは、グローバル・ビジネスの拠点として世界中から資産家・投資家・ビジネスパーソンを惹きつけています。経済成長と比例して、賃貸住宅市場も成長しており、家賃も年々上昇しています。
ドバイで賃貸住宅に住むと、家賃はいくらになるのでしょうか?今回は、ドバイの賃貸住宅の間取りのタイプ、賃貸借契約に関する注意事項、賃貸住宅の平均家賃について解説します。
ドバイの賃貸住宅の間取り
ドバイの賃貸住宅にはどのような間取りのタイプがあるのでしょうか?ドバイの賃貸住宅には、日本でいう「マンション」に該当する「アパートメント」と、戸建て住宅に該当する「ヴィラ」があります。ここでは、賃貸住宅としてスタンダードなアパートメントの間取りのタイプを紹介します。
- スタジオ(Studio)
- ワンベッドルーム(1 Bedroom)
- ツーベッドルーム(2 Bedroom)
- スリーベッドルーム(3 Bedroom)
スタジオ(Studio)
スタジオ(Studio)は、間仕切りのない1つの空間に、ベッドとリビングルームがある間取りです。また、トイレ、洗面所、浴槽など水回りが1つにまとめられたバスルームが別途あります。
日本では「ワンルーム」と呼ばれるタイプで、単身者やカップル、子どものいない夫婦に向いている間取りといえるでしょう。日本のワンルームよりは面積が広い物件が多いため、ベッドを2つ置くこともできます。
なお、ドバイの賃貸住宅には、家具付きと家具なしがあります。家具付き物件は少し家賃が高くなりますが、いちいち家具や電化製品を買い揃えなくてもよいことが魅力です。家具なしの物件は、家具付き物件より家賃が少し安くなるのがメリットといえます。
ただし、付属する家具・家電のグレードはほぼ最低限のレベルになります。家具・家電にこだわりたい人は、家具なし物件を選び、自分で買い揃えるほうが納得するかもしれません。
ワンベッドルーム(1 Bedroom)
ワンベッドルーム(1 Bedroom)は、キッチン、リビングルーム、バスルームの基本ユニットに寝室が1部屋ある間取りです。日本では、「1LDK」と呼ばれる間取りのタイプです。
単身者の場合、部屋を広々と使えます。カップル、子どものいない夫婦だけではく、小さな子どもも一緒に住める間取りです。また、友人2人で住むことも可能です。
ツーベッドルーム(2 Bedroom)
ツーベッドルーム(2 Bedroom)は、キッチン、リビングルーム、バスルームに寝室が2部屋ある間取りです。日本では、「2LDK」と呼ばれる間取りのタイプです。
寝室は、マスターベッドルームと呼ばれる広めの部屋と、それ以外の2つになるパターンが一般的です。子育て世帯にも対応できる間取りで、子どもが小さいうちは2人まででも大丈夫でしょう。
スリーベッドルーム(3 Bedroom)
スリーベッドルーム(3 Bedroom)は、キッチン、リビングルーム、バスルームに寝室が3部屋ある間取りです。日本では、「3LDK」と呼ばれる間取りのタイプです。
寝室の数が増えるにしたがって、フォーベッドルーム、ファイブベッドルームとなっていきます。当然ではありますが、部屋が広くなるにしたがって家賃も高くなります。
また、寝室が増えると、バスルームが増える場合があります。スリーベッドルーム・ツーバスルームやファイブベッドルーム・スリーバスルームなどの間取りも珍しくありません。
ドバイの賃貸住宅契約に関する注意点
不動産に関する法律は、国によって大きく異なります。ドバイの賃貸借契約についても、日本とは異なる面があります。ドバイの賃貸住宅契約に関する法律や商慣習を知らないとトラブルになることも考えられるため、注意が必要です。ここでは、ドバイの賃貸住宅契約に関する注意点について解説します。
契約期間
ドバイでは、賃貸借契約の期間は1年が一般的です。日本の普通借家契約では2年が一般的であるため、短く感じるかもしれません。
家賃の支払い方法
ドバイでは、家賃支払いは1年分前払いが原則です。つまり、契約更新時に一括で支払う形です。日本では月ごとに家賃を支払いますが、ドバイでは1年分一括支払いとなりますので、まとまったキャッシュを用意する必要があります。
家賃の支払方法には、現金や銀行振込、小切手、クレジットカードなどがありますが、小切手を利用することが多いようです。この点も日本とは商習慣が異なるため注意してください。
中途解約
賃貸借契約の期間は原則1年ですが、転勤や急な帰国などの理由で中途解約しなくてはならなくなった場合、事前通知とペナルティ分の支払いが必要となります。
中途解約に関するルールは法律で決められてはいませんが、3ヶ月前までに事前通知し、2ヶ月分の家賃をペナルティとして支払う方法が一般的となっています。
わかりやすいように例を挙げましょう。2023年12月1日から2024年11月30日までの1年間の賃貸借契約を結んでいたとします。2024年4月30日に中途解約希望をオーナーに通知した場合、7月31日まで住むことができます。ペナルティは9月30日分までなので、10~11月の2ヶ月分の家賃が返金されることになります。
日本では、借主側が事実上いつでも中途解約できますが、ドバイではそうはなりませんので注意しましょう。
家賃の値上げ
1年間の契約期間中の家賃値上げはありませんが、契約期間終了後に家賃の値上げをオーナーから通告されるケースがあります。
経済成長著しいドバイでは、年々家賃が上昇しているため、契約期間終了後の家賃値上げ通告が多発しています。オーナー側には、なるべく高い家賃を払ってくれる借主に物件を賃貸したいインセンティブが働くため、こうした現象はやむをえないでしょう。
ドバイの法律では、更新時の家賃値上げは5%以内とされていますが、オーナーが5%以上の値上げを要求するケースもあるようです。借地借家法によって借主の立場が保護されている日本とは大きく異なります。
家賃以外の費用
賃貸借契約時に1年分の家賃を前払いしますが、家賃以外にも発生する費用があります。
- セキュリティデポジット
- 仲介手数料
- EJARI
- DEWA
セキュリティデポジット
賃貸借契約時には、セキュリティデポジットを支払います。これは、保証金・預り金の性格を持ったもので、日本の敷金に相当します。
セキュリティデポジットは、物件の退去時に原状回復費用(借主負担分)を差し引いて返金されます。この点も敷金と同じです。
仲介手数料
不動産仲介会社に支払う仲介手数料が発生します。ハウジングフィーと呼ばれます。
相場は、年間家賃の5%です。日本の仲介手数料の相場が1ヶ月ですから、日本よりは安いことがわかります。
EJARI
EJARIとは、ドバイ政府に賃貸住宅の借主であることを登録する費用です。日本の不動産登記費用に相当するものといえます。
日本では所有権は登記を行いますが、賃借権は登記しません。ドバイでは、所有権と同じく賃借権も登録することが特徴です。
DEWA
DEWAとは、ドバイの水道・電気を管轄する省庁です。最初に、DEWAへの登録費用がかかります。
ドバイの賃貸住宅の平均家賃
では、ドバイの賃貸住宅にはいくらで住めるのでしょうか?世界最大手の不動産プロバイダーであるCBREのレポートを参照して、ドバイの賃貸住宅の平均家賃について解説します。
アパートメントの平均家賃
ドバイは経済成長にともなって人口が増え続けており、賃貸需要も旺盛になっています。それに比例して、家賃も全エリアで上昇しています。コロナ禍でいったんは落ち込んだのですが、アフターコロナの経済回復によって、家賃もV字回復している状況です。
CBREの最新レポートによると、2024年6月現在、アパートメントの平均家賃は年間127,969AEDです。1AED=約40円として計算すると、日本円では511万8,760円になります。日本人にわかりやすく月額に換算すると、42万6,563円です。ドバイの賃貸住宅がかなり高くなっていることがわかります。
出典:CBRE UAE Real Estate Market Review Q2 2024
ヴィラの平均家賃
戸建て住宅である「ヴィラ」の平均家賃はどうでしょうか?2024年6月現在、ヴィラの平均家賃は年間354,512AEDです。日本円に換算すると、1,418万0,480円となります。
月額にすると118万1,706円となり、ドバイのヴィラ家賃は高額で推移していることがわかるでしょう。
出典:CBRE UAE Real Estate Market Review Q2 2024
ポータルサイトで検索すると安い物件もある
ドバイ全エリアの平均家賃は以上のようになりましたが、不動産ポータルサイトで検索すると、平均以下の安い物件も見つかります。ドバイはエリアによって家賃相場が異なり、物件によって家賃の幅があります。
海外不動産ポータルサイトのFazWazで検索すると、アパートメントの最安物件は月額で10万2,000円(年額122万4,000円)からあります。ヴィラでも月額16万2,000円(年額194万4,000円)からありますので、資産家・お金持ちしか手が出せないというわけではありません。
ドバイで信頼できる不動産エージェントの選び方
ドバイに限らず異国で不動産の取引をするには、信頼できる不動産エージェントにおまかせすることが極めて重要です。最後に、信頼できる不動産エージェントを見極める方法を解説します。
- 口コミや評判をチェックする
- 日本人スタッフが在籍している
- レスポンスが早い
口コミや評判をチェックする
まずは、口コミや評判をチェックしましょう。インターネット上の掲示板を確認してもよく、SNSで言及されていたらそれをチェックしてもよいでしょう。
一番確からしいチェック方法は、ドバイに在住する日本人に聞くことです。ドバイ移住のためにお付き合いしてきたアドバイザーやエージェントに尋ねてみましょう。自分が信頼している日本人から紹介を受けるのがもっとも良い方法だといえます。
日本人スタッフが在籍している
その不動産仲介エージェントに日本人スタッフが在籍しているかどうか確認しましょう。英語・アラビア語に不安のある人は言葉の問題を解決できますし、日本人であれば日本人のニーズを把握していることが多いでしょう。
ドバイと日本の不動産に関する法律・商習慣の違いも理解しているケースも多いと考えられます。
レスポンスが早い
問い合わせに対して、レスポンスが早いエージェントは仕事熱心といえます。メールや電話に対してすぐに対応してくれる担当者には、誠実さや心強さを感じることでしょう。逆に、なかなか返信をしない担当者には不安を感じるものです。
仕事をテキパキと進めるエージェントには信頼感があり、それがメールや電話への対応にもあらわれます。
まとめ
ドバイの経済的発展は不動産市況をも活性化させているため、不動産の物件価格は毎年上昇し続けています。それに伴い、必然的に賃貸住宅の家賃も上昇しています。
日本の賃貸住宅に比べて面積の広い物件も多く、その分家賃が高めに設定されている傾向もあります。
それでも、しっかりと探せば東京とほぼ同レベルの家賃の物件は見つかります。信頼できる不動産エージェントを味方につけて、ドバイの部屋探しを成功させましょう。