ドバイ不動産が空前のブームに沸く中、賢明な投資家たちはすでに次の目的地を見定めています。それが、アラブ首長国連邦(UAE)の真の盟主であり、圧倒的な財政基盤を誇る首都・アブダビです。
ドバイが華やかな観光・商業の都として世界を席巻する一方で、アブダビは安定と文化、持続可能な成長をキーワードに、独自の不動産市場を形成してきました。今回は、今なぜアブダビがドバイに続く「第2の波」として、投資家たちから注目されているのか、将来性と判断基準を解説します。
アブダビ不動産が注目される背景
アブダビは単なる「ドバイの隣町」ではありません。UAEを構成する7つの首長国の中で、政治、経済すべての面で中心的な役割を担う、実力派の都市です。まずは、不動産市場を支えるアブダビの基礎的な実力について解説します。
アブダビはアラブ首長国連邦(UAE)の中心部だから
アブダビは、伝統的なアラブ文化の重厚さと、西欧的な最先端ビジネスが絶妙なバランスで融合した都市です。ドバイが「変化」を好むのに対し、アブダビは「本質」を重視する傾向にあり、その街並みからも落ち着いた品格が漂います。
アラブ首長国連邦(UAE)の首都
アブダビはUAEの連邦首都であり、国家の意思決定が行われる心臓部です。大統領府をはじめとする政府機関、各国大使館が集結しており、行政機能がこの一都市に凝縮されています。
不動産投資の観点では、首都であることは高い社会的信用を意味します。政府主導のプロジェクトは頓挫しにくく、法整備が迅速に行われるため、長期保有を前提とする投資家にとってこれほど心強い背景はありません。
UAEの中で最大の面積・人口を持つ首長国
アブダビは都市だけではなく、首長国でもあります。アブダビ首長国は、UAE全体の国土面積の約87%を占める広大な土地を有しています。この「土地の余力」こそが、ドバイにはないアブダビの強みです。
サディヤット島(Saadiyat Island)やヤス島(Yas Island)といった広大な未開発エリア、再開発エリアが戦略的にゾーニングされており、数十年先を見据えた大規模な都市開発が可能です。人口も増加の一途を辿っており、拡大する都市機能に合わせて居住需要も確実に積み上がっています。
石油収入で豊かな国
アブダビを語るうえで欠かせないのが、世界トップクラスの石油・ガス埋蔵量です。UAE全体の石油資源の約9割以上がアブダビに集中しており、莫大なオイルマネーは、世界最大級の政府系ファンド「アブダビ投資庁(ADIA)」などを通じて世界中に再投資されています。
不動産市場においても、オイルマネーは「最強のバックボーン」となります。世界的な不況が訪れても、政府による公的投資が止まらないため、インフラ整備や街づくりの質が維持されやすいのです。
世界でもっとも安全な都市
世界の都市統計データを提供するNumbeoの「2025年都市別安全指数」において、アブダビは「世界でもっとも安全な都市」のランキング1位に輝いています。
参照元:Numbeo Safety Index by City 2025
犯罪率の低さは驚異的であり、夜間の独り歩きもまったく問題ありません。投資家にとって治安の良さは、単なる安心感だけでなく、高所得者層や外国人ファミリー層を惹きつける「賃貸需要の源泉」ともなりえます。
安全な街には質の高い入居者が集まり、結果として資産価値が守られるという好循環が生まれています。
ドバイとは違う特長があるから
「UAE不動産投資」と一括りにされがちですが、ドバイとアブダビでは不動産市場の性格が異なります。
経済モデルと都市の性格の違い
ドバイは、石油に頼らない経済を目指し、観光、貿易、金融、ITのハブとして急速に発展しました。「マーケティングの力」で世界を引き寄せた都市です。
対してアブダビは、石油資源を原資としつつ、教育、文化、クリーンエネルギー、高度医療といった次世代のインフラへの投資に注力しています。
| ドバイ | 華やか、トレンド、短期成長、外食・エンタメ重視 |
| アブダビ | 堅実、教育・文化、中長期成長、ファミリー・QOL重視 |
ルーヴル・アブダビやグッゲンハイム・アブダビ(2026年開館予定)などの文化施設が集積しており、質の高い持続可能性を目指している姿勢が見て取れます。
不動産価格の動きと投資スタンスの違い
不動産市場のダイナミクスも対照的です。ドバイは世界中の投資家が激しく流入・流出するため、価格のボラティリティ(変動幅)が大きく、短期間でのキャピタルゲインを狙いやすい半面、調整局面での下落幅も大きくなる傾向があります。
一方のアブダビは、需要の多くを実需や長期保有の投資家が占めています。そのため、価格の動きは緩やかで、ドバイの不動産価格が乱高下している時期でも、アブダビは着実な右肩上がり、あるいは横ばいを維持する「ディフェンシブな市場」としての側面を持っています。
アブダビ不動産の将来性が高いと言われる理由
なぜ今、アブダビ不動産が「将来性が高い」と語られるのでしょうか?ここでは、5点にまとめて解説します。
- 政府主導の長期的な都市計画があるから
- 人口増加と居住ニーズが拡大しているから
- 地政学的リスクが低いから
- ドバイ投資の「次なる一手」になるから
- ディズニーリゾート建設が予定されているから
政府主導の長期的な都市計画があるから
アブダビ政府は「Abu Dhabi Economic Vision 2030」を掲げ、石油依存からの脱却と経済の多様化を強力に推進しています。不動産は同ビジョンの基盤です。
特筆すべきは、政府系デベロッパー「ALDAR(アルダール)」による、一貫性のあるエリア開発です。マスタープランにもとづき、交通インフラ、商業施設、学校、公園がセットで整備されるため、街としての完成度が高く、時間が経つほどに利便性が向上し、不動産価値が高まる構造になっています。
人口増加と居住ニーズが拡大しているから
アブダビの人口推移を支えているのは、高度な専門職を持つ外国人駐在員の流入です。AI研究機関、金融センター、最先端医療施設などが続々と設立され、世界中から高度技術者が集まっています。
UAE政府による「自国民向け住宅政策」も、不動産市場の下支えとなっています。需要が供給をつねにリードしている状態であり、サディヤット島のようなブランド力のあるエリアでは、物件の発売と同時に完売する事例が相次いでいます。
地政学的リスクが低いから
現在の中東情勢に対して不安を感じる投資家もいるかもしれませんが、UAEは「中東の永世中立国」に近い立ち位置を築いています。安定した君主制と賢明な外交政策により、周辺国との良好な関係を維持しており、地域紛争に巻き込まれるリスクを最小限に抑えています。
政治的安定性は、グローバル企業が中東の本拠地としてアブダビを選ぶ最大の理由であり、結果として、長期的な不動産投資を支えるテナントの安定性につながっています。
ドバイ投資の「次なる一手」になるから
現在、ドバイの不動産価格は過去最高水準にあり、利回りは以前に比べるとやや低下傾向にあります。そこで、感度の高い投資家たちは、ドバイと同等の法整備と税制優遇がありながら、まだ上昇余地が残っているアブダビへと資金をシフトさせています。
ドバイ市場が成熟期に入りつつある中で、アブダビはまさに「第2の上昇期」の入り口に立っているといえるでしょう。
ディズニーリゾート建設が予定されているから
ウォルト・ディズニー・カンパニーは2025年5月、UAEのアブダビに新たなディズニーのテーマパークリゾートを建設する計画を発表しました。ウォルト・ディズニー・カンパニーにとって世界で7番目のテーマパークであり、中東地域では初の建設です。
世界規模のテーマパーク建設の動きは、エリア全体の潜在価値を爆発的に高める要因となります。すでにヤス島には、フェラーリ・ワールド、ワーナーブラザース、シーワールドといった世界的施設が集まっており、これにディズニーが加われば、観光客と居住需要の両面で計り知れない経済効果をもたらすことは間違いありません。
外国人投資家にとってのメリット
アブダビには、投資家を強力に保護し、利益を最大化させるための仕組みが整っています。
- 外国人が不動産を購入できる
- 圧倒的な節税ができる
- 長期滞在が可能なビザ制度がある
- キャピタルゲインとインカムゲインの両立が目指せる
- ドバイとの経済的シナジーがある
外国人が不動産を購入できる
かつてアブダビでは外国人の不動産所有は制限されていましたが、2019年の法改正により、指定されたフリーホールド・エリアにおいて、外国人が土地を含めた不動産の100%所有権を取得できるようになりました。同制度により、日本の不動産と同じように、相続や売却を自由に行うことができます。登記プロセスもデジタル化が進んでおり、透明性の高い取引が可能です。
圧倒的な節税ができる
アブダビでの投資における最大の武器は、その税制にあるといえます。
| 税金の種類 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | 0% | 家賃収入に対する個人の所得税なし |
| 住民税 | 0% | 概念がない |
| 固定資産税 | 0% | 保有し続けることによるコストが極めて低い |
| 譲渡所得税 | 0% | 売却益に対する課税なし |
日本国内の不動産投資と比較すると、税引き後の手残りに圧倒的な差が出ます。2023年に法人税が導入されましたが、税率は9%と各国と比べると低い税率です。
UAEは、投資家にとって世界最高峰の税務環境が維持されているのです。
長期滞在が可能なビザ制度がある
ゴールデンビザ制度の存在は、投資家にとって大きなメリットです。200万ディルハム(約8,000万円)以上の不動産を購入するなどの要件を満たせば、10年間の居住ビザを申請することができます。
UAEを拠点に世界を飛び回るビジネスパーソンや、教育環境を求めて移住を考える家族にとって、不動産購入はビザ取得のもっとも確実なルートとなります。
キャピタルゲインとインカムゲインの両立が目指せる
アブダビ不動産の利回りは、エリアによりますがおおむね6~8%程度と、先進国の主要都市を大きく上回る水準です。現在は都市開発の途上にあるため、数年後の完成を見越した値上がり益(キャピタルゲイン)も十分に狙えます。
オフプラン(未完成物件)を販売直後に購入し、竣工までに20~30%以上の価格上昇を享受する投資家も珍しくありません。
ドバイとの経済的シナジーがある
アブダビとドバイは、将来的にさらに密接に結びつきます。高速鉄道ネットワークである「エティハド・レール」は、両都市をわずか50分で結ぶ予定です。
ドバイで働きアブダビで暮らす、あるいはその逆という生活スタイルの一般化が予想されます。ドバイの経済成長の恩恵を吸い上げつつ、アブダビの安定した環境で資産を運用するという「いいとこ取り」の戦略が可能になるのです。
将来性だけで判断しないための注意点とリスク
ここまでポジティブな側面を強調してきましたが、不動産投資に絶対はありません。アブダビ不動産投資特有のリスクの把握は、不可欠といえるでしょう。最後に、アブダビ不動産の注意点とリスクを解説します。
- 為替変動リスクがある
- ドバイと比較すると流動性は劣る
- オフプラン物件にともなうリスクに注意する
- エリア選定はシビアに行う
為替変動リスクがある
UAEディルハムは、米ドルに固定されたペッグ制を採用しています。同制度により、UAEは新興国で懸念される通貨危機のリスクが低いと見られています。
一方、日本円で投資する場合、円安・円高の影響をダイレクトに受けます。購入時より円高が進めば、現地価格が上がっていても円建てでの利益は目減りします。逆に円安が進めば二重の利益を得られますが、為替の変動は不動産市場とはまったく別の論理で動くため、余裕を持った資金計画が必要です。
ドバイと比較すると流動性は劣る
アブダビの不動産市場はドバイに比べると取引件数が少なく、中古市場の流動性もやや低めです。ドバイであれば数週間で売却できる物件でも、アブダビでは数ヶ月を要するケースもあります。
「来月すぐに現金化したい」といった短期的な資金需要には不向きといえるでしょう。あくまで5年、10年といった中長期の視点で出口戦略を描くべき市場です。
オフプラン物件にともなうリスクに注意する
竣工前の物件を安く買うオフプラン投資は魅力的ですが、建設遅延のリスクはつねに考慮すべきです。アブダビでは、投資家保護のために「エスクロー口座(開発会社が勝手に引き出せない分別管理口座)」の使用が義務付けられていますが、それでもデベロッパーの体力や実績は精査しなければなりません。
基本的にはALDARのような政府系、あるいは実績豊富な大手デベロッパーに絞るのが定石です。
エリア選定はシビアに行う
アブダビならどこでも良いわけではありません。
| エリア | 属性 | 備考 |
|---|---|---|
| サディヤット島 | 超富裕層 | 将来価値は高いが、参入障壁も高い |
| ヤス島 | 観光客 | 高い回転率が期待できる |
| アル・リーム島 | ビジネスパーソン | 供給過剰に注意が必要 |
以上のように、エリアごとに特性が異なります。自分の投資目的が利回りなのか値上がりなのか、自宅・別荘としての利用なのかを明確にし、エリアを厳選する必要があります。
まとめ
アブダビ不動産は、UAEの首都としての圧倒的な安定性と、国家ビジョンに裏打ちされた成長性が共存する、稀有な市場です。ドバイが提供するメリットとはまた異なる、本質的な価値と将来の伸び代がここにはあります。
為替リスクや流動性の課題は存在しますが、それを補って余りある税制メリットや、世界でも類を見ない治安の良さ、政府による強力な開発推進力は、中長期の資産形成を目指す投資家にとって大きなチャンスです。
「第2の波」が大きなうねりとなる前に、正しい知識と判断基準を持って市場に参入する。それが、アブダビ不動産投資で成功を収めるための道といえるでしょう。
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