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【2025】ドバイ不動産市場はバブルなのか?価格上昇の背景と投資戦略をわかりやすく解説

ドバイ不動産市場はバブルなのか?価格上昇の背景と投資戦略をわかりやすく解説

ドバイ不動産市場は一貫して成長が続き、世界中の投資家から注目を集めています。あまりの急成長に「バブルではないか?」との声も大きいのが現実です。今回は、ドバイ不動産市場の現状や価格上昇の原因、ドバイ不動産の魅力、さらに投資時に考慮すべき注意点について詳しく解説します。

目次

ドバイ不動産市場の現状

ドバイ不動産市場は、2020年のコロナ禍でいったんは落ち込みましたが、その後顕著な成長を遂げています。ここでは、データから市場の現状について解説します。

2020年から2024年の市場動向

2020年以降、ドバイの不動産市場は価格が上昇し続けており、世界中の投資家にとって魅力的な市場となっています。次のデータは、ドバイのアパートメントの平均価格を示しています。(1AED=40円で計算)

2020年886,186AED3,544万7,440円
2021年1,023,084AED4,092万3,360円
2022年1,242,888AED4,971万5,520円
2023年1,231,861AED4,927万4,440円
2024年(9月まで)1,279,000AED5,116万円

出典:DXB Interact

2020年のコロナ禍では一時的に市場が停滞しましたが、その後はドバイ政府の迅速な対応や世界的な経済回復を背景に、市場は右肩上がりの成長を見せています。観光業の復調や「エキスポ2020」の成功も、価格上昇を後押しする要因となりました。

住宅だけではなく、商業施設やオフィス物件も需要が増加しており、ドバイの多様な不動産セクター全体で市場が活性化しています。

高級住宅市場が成長を牽引

ヴィラ(一戸建て住宅)や高級住宅市場は、特に目覚ましい成長を遂げています。以下はヴィラの価格推移を示します。

2020年1,779,680AED7,118万7,200万円
2021年2,180,000AED8,720万円
2022年2,005,000AED8,020万円
2023年2,820,000AED1億1,280万円
2024年(9月まで)3,167,888AED1億2,671万5,520万円

特に注目すべきは、パーム・ジュメイラやブルジュ・ハリファ周辺の物件です。これらのエリアでは、象徴的なランドマークが富裕層を惹きつけており、他の地域に比べて高い上昇率を記録しています。

ドバイは「ラグジュアリーライフスタイルの象徴」として世界中の富裕層に認識されており、アメニティやセキュリティが充実した物件が人気を集めています。このような高級住宅市場の需要は、他都市と比較しても際立っています。

ドバイ政府の政策と安定性

ドバイ政府は、不動産市場の安定と成長を目指して数多くの政策を打ち出しています。住宅ローンを適正に規制し、不動産市場が過熱しすぎないようにコントロールしています。これらの政策により、投資家は市場の信頼性を確保しながら、安全に参入することが可能です。

ドバイ不動産価格上昇の原因

ドバイ不動産市場がこれほど成長している背景には、「計画的な都市開発」と「富裕層による高級物件需要」の増加が挙げられます。

計画的な都市開発

ドバイは都市開発に多額の投資を行い、その結果が不動産価格の上昇に直結しています。以下のプロジェクトが特に注目されています。

「エキスポ2020」跡地の再開発

イベント後も持続可能なコミュニティとして活用されており、住宅や商業エリアが拡大しています。

スマートシティ計画

IoTやAIを活用した近未来型の都市開発が進行中で、物件の付加価値を高めています。交通インフラの整備:新空港やメトロの延伸計画により、交通アクセスが向上し、地域全体の魅力が向上しています。

これらのプロジェクトは、ドバイが単なる観光都市に留まらず、世界的なビジネスハブとしての地位を確立するための基盤となっています。

高級物件への需要増加

ドバイの高級住宅市場は、富裕層や外国人投資家にとって非常に魅力的です。パーム・ジュメイラやダウンタウン・ドバイといった象徴的なエリアは、リゾート地としての魅力だけでなく、快適な生活環境や安全性の高さでも評価されています。

加えて、ドバイは所得税やキャピタルゲイン税が課されないため、資産を効率的に増やしたい投資家にとって理想的な選択肢となっています。このような特性が、世界中の投資家からの関心を集める要因となっています。

ドバイ不動産市場の魅力

ドバイ不動産市場は、投資家にとって多くの魅力を持っています。他国では得られないユニークな利点が数多く存在します。ここでは、ドバイ不動産市場の主要な魅力について解説します。

  • 外国人でも不動産投資が可能
  • キャピタルゲイン・インカムゲインともに狙える
  • 不動産購入でゴールデンビザの取得が可能
  • 節税メリットが圧倒的に大きい

外国人でも不動産投資が可能

ドバイの不動産市場の最大の特徴の一つは、外国人でも所有権付きの不動産を購入できる点です。これは、ドバイ政府が2002年に制定したフリーホールドゾーンの設置によるものです。

フリーホールドゾーンとは、外国人が不動産を自由に購入し、完全な所有権を得られる特定地域を指します。これにより、外国人投資家が物件を購入し、長期的な資産形成を行うことが可能になっています。代表的なフリーホールドゾーンには、パーム・ジュメイラ、ダウンタウン、ドバイ・マリーナなどがあります。

フリーホールドゾーンでは、購入者が物件の完全な所有権を持つことができるため、将来的な売却や賃貸が自由に行えます。また、政府の規制によって取引のプロセスが透明であり、投資家が安心して取引を行える環境が整っています。

ドバイでは、この制度により外国人投資家が市場に参入しやすくなり、不動産市場全体の活性化につながっています。

キャピタルゲイン・インカムゲインともに狙える

ドバイ不動産市場の成長は、投資家に二重の収益機会を提供します。それが「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」です。

第1章で価格データを見たようにドバイ不動産の価格上昇は顕著で、購入した物件を数年後に売却してキャピタルゲイン(売却益)を得られます。ドバイの不動産は資産価値の上昇が期待できる投資対象です。

高いインカムゲイン(運用益)も期待できます。ドバイの観光業は主力産業であり、毎年数千万人の観光客が訪れ、短期レンタル物件の需要は常に高い状態です。また、ドバイはビジネスハブとしても成長しており、外国人居住者の長期賃貸需要が拡大しています。

ドバイの賃貸物件の利回りは世界でもトップクラスで、6~9%とされています。この高い利回りは、投資家にとって大きな魅力です。

不動産購入でゴールデンビザの取得が可能

ドバイ政府は、不動産投資を促進するために「ゴールデンビザ」という長期滞在許可を発行しています。ゴールデンビザ制度の存在によって、投資だけでなく移住にも大きなメリットをもたらします。

ゴールデンビザは、一定額以上の不動産を購入した外国人に対して発行される10年間の長期滞在ビザです。この制度により、投資家は長期的なドバイでの生活やビジネス活動が可能になります。

ゴールデンビザを取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 200万AED以上(約8,000万円)の不動産の購入
  • 購入物件が完成済みであること
  • 購入時のローン利用が一定割合以下であること

ゴールデンビザは家族も対象となり、投資家本人だけでなく、その配偶者や子どももビザの対象となります。また、ゴールデンビザを取得すると、ドバイでの会社設立や就労が容易になります。

節税メリットが圧倒的に大きい

ドバイ不動産市場のもう一つの大きな魅力は、税制優遇策です。ドバイでは、多くの国で課される税金が存在しないため、投資家は収益の大部分を手元に残すことができます。

日本をはじめ、多くの国では不動産の売却益に対してキャピタルゲイン税(譲渡所得税)がかかりますが、ドバイではこうした税金がありません。また、給与所得や事業所得など個人の所得に対する所得税もありません。当然、収益物件から得られる家賃収入へも課税されません。

たとえば、日本では不動産の短期譲渡所得(5年以内に売却した場合)への譲渡所得税率は、39.63%にもなります。これがドバイでは0ですので、純利益を最大化できることが誰にもわかります。

当然、資産が高額であればあるほどこの節税メリットを享受できますので、ドバイは世界中の資産家・富裕層から注目されているのです。ドバイは他国にはない制度や利点が数多く存在し、短期的な利益だけでなく、長期的な資産形成にも適した選択肢になっているといえるでしょう。

ドバイ不動産はバブルなのか?

ドバイ不動産市場は、その急成長から「バブルではないか」という懸念を抱かれることが少なくありません。過去の事例や現在の市場動向、専門家の見解をもとに考察します。

2009年ドバイショック

ドバイ不動産市場が最初にバブルの兆候を見せたのは、2008年のリーマンショックによる影響でした。当時のドバイは、急激な経済成長とともに不動産ブームの真っ只中にありましたが、アメリカ発の金融危機が波及し、不動産価格の急落、建設プロジェクトの中止、投資家の撤退が起きました。

これが2009年の「ドバイショック」と呼ばれる事態です。その後、ドバイ政府はこの教訓を活かし、安定性を重視した政策を採用するようになりました。不動産取引の透明性向上や住宅ローン規制の強化などが行われ、再び同じ状況が繰り返されないように整備が進められています。

ロシア人投資家は売却傾向

近年、ロシア人投資家の動向がドバイ不動産市場に注目を集めています。かつて主要な買い手であったロシア人投資家が、最近では売却を増やしています。

ロシアからの資金流入が本格化したのは、2022年のウクライナ侵攻後です。国際的な経済制裁を避けるため、多くのロシア人富裕層が資産をドバイに移し、高級住宅を次々に購入したのでした。 

最近では、ロシア人投資家が一部の物件を売却する動きが見られています。その理由としては、制裁の長期化によりロシア人投資家の資金繰りが厳しくなっていること、物件価格が上昇したタイミングで利益を確定させていること、資産をドバイ以外の市場にも分散させていることが指摘されています。

ロシア人投資家の動きは、ドバイ住宅市場での供給量を増加させると見られますが、引き続き需要が強いことから、価格に大きな影響は出ていないとされています。

専門会社の分析

ドバイ不動産市場がバブルであるかどうかについて、専門家の見解も重要な指標となります。スイスに本社を置くUBSが発表する「グローバル不動産バブル指数」では、2024年版のドバイ市場の評価が示されています。

同報告書では、ドバイの指数は「0.64」とされています。これは「Moderate(適度)」に分類され、明確なバブルの兆候は見られないと評価されています。

報告書では、ドバイの不動産市場は中価格帯の物件も需要が高く、政府の透明性向上策が市場を安定させており、多くの物件が居住や事業用の実需目的であることを指摘しており、ドバイ市場は投機的なバブルとは異なると結論しています。

出典:GlobalRealEstateBubbleIndex2024

2024年以降の展望

ドバイ不動産市場の将来について、専門家は引き続き成長が期待できると予測しています。ドバイは税制優遇策や治安の良さが好感され、富裕層が移住先として選ぶ都市の一つとなっているため、高級住宅市場が引き続き活性化すると予測されています。

また、ドバイ国際空港に次ぐ新しい国際空港である「アル・マクトゥーム国際空港」の建設、メトロの延伸計画、スマートシティ開発などのインフラ整備が地域全体の不動産価値を押し上げています。

これらの要因を考慮すると、ドバイ不動産市場は持続可能な成長を続けると期待されています。ドバイ不動産市場が「バブル」と呼ばれるのは、その急成長によるものですが、過去のドバイショックの教訓や政府の安定した政策、実需にもとづく市場構造がバブル化を防いでいるといえるでしょう。

ドバイ不動産投資で注意すべきポイント

ドバイ不動産市場は魅力的な投資先として注目されていますが、成功するためには慎重な判断が必要です。ここでは、ドバイ不動産投資で注意すべきポイントを解説します。

  • 地域ごとの特性を理解する
  • リスク管理を徹底する
  • 融資の利用は限定的になる

地域ごとの特性を理解する

ドバイは多様なエリアで構成されており、それぞれが異なる特性と投資価値を持っています。地域ごとの市場分析を行い、投資目的に適したエリアを選ぶことが成功の鍵となります。

たとえば、ダウンタウンはブルジュ・ハリファやドバイモールが位置する都市の中心部であり高い家賃設定が可能で、インカムゲインが期待できます。パーム・ジュメイラは人工島に広がるラグジュアリーエリアで、富裕層向けのヴィラや高級マンションが多く、資産価値の安定性が高いのですが、物件価格が高額で、初期投資額が大きくなります。

短期的なキャピタルゲインを狙うのか、長期的な賃料収入を重視するのかによって選ぶべきエリアが異なるのです。

リスク管理を徹底する

不動産投資には常にリスクがともないますが、適切なリスク管理を行うことで損失を最小限に抑えることができます。ドバイ不動産市場で特に意識すべきリスクとしては、価格変動リスクや空室リスクとともに、オフプラン物件(未完成物件)のリスクがあります。

ドバイでは計画段階の物件が多く販売されていますが、完成の遅延や開発中止のリスクがあります。エスクロー制度によって投資家の損失を回避する仕組みがありますが、現地の不動産エージェントや投資アドバイザーに相談し、リスクを見極めることが重要です。

融資の利用は限定的になる

日本のように低金利で不動産投資向けの融資を受けられる国と比べ、ドバイでは融資条件が異なり、利用にはいくつかの制約があります。外国人投資家でも住宅ローンを利用できますが、条件は日本より厳しくなります。

オフプラン物件への融資には住宅ローンを適用できない場合が多く、レディプラン物件(完成物件)への適用のみとなるケースが一般的です。また、物件価格の25~50%程度の頭金が必要です。金利は固定金利タイプで年率5~7%程度で、日本の低金利と比較すると割高です。

まとめ

ドバイ不動産市場は、急成長ゆえに「バブル」と言われ続けてきましたが、まだまだ成長の余地がある魅力的な市場です。ドバイ不動産投資に成功するには、地域特性を理解し、リスク管理を意識することが重要です。ドバイ不動産はきっと多くの投資家にとって収益性の高い投資先となるでしょう。

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