世界中の投資家が注目するドバイ不動産。その最大の魅力は、主要都市を上回る「高利回り」にあります。
今回は、ドバイ不動産の利回りの実態とエリアごとの特性まで、ドバイ不動産投資の全体像をメリット・リスクを含めてわかりやすく解説します。
ドバイ不動産市場の概要と注目される理由
ドバイは中東地域において、経済、観光、貿易、物流、テクノロジーなど多岐にわたる分野で急速な発展を遂げており、これに伴い不動産市場も急成長を遂げています。まずは、ドバイ不動産市場の概要と、注目される主な理由について解説します。
- 経済とともに急成長を遂げているから
- 投資環境が外国人に開かれているから
- タックスヘイブン施策が魅力になっているから
経済とともに急成長を遂げているから
ドバイの経済は過去数十年にわたって石油に依存しない成長を目指し、金融、物流、観光、不動産、ITといった非石油セクターへの移行を進めてきました。都市の近代化とともに大規模な不動産開発が相次いで行われており、世界的な企業や富裕層を呼び込むための都市計画が実行されています。
象徴的な例としては、世界一の建物である「ブルジュ・ハリファ」の建設があります。

こうしたランドマークは、ドバイの都市ブランド力を高めると同時に不動産の資産価値を押し上げています。
ドバイ政府は国家ビジョン「UAE Vision 2021」や「ドバイ・2040都市マスタープラン」にもとづき、住宅・商業開発をバランスよく推進しており、これが市場の長期的安定性に寄与しています。
投資環境が外国人に開かれているから
ドバイのもう一つの大きな特徴は、外国人に対して開かれた不動産投資環境を提供している点です。中東諸国の中では例外的に、外国人が不動産を所有できるエリア「フリーホールドゾーン」を多数設定しています。
投資目的の不動産購入も安心して行えるため、ドバイ・マリーナ、ダウンタウン・ドバイ、ジュメイラ・ビレッジ・サークル(JVC)などの人気エリアでは、外国人購入者の割合が非常に高くなっています。

不動産取引における手続きも比較的簡素で、透明性が高いのも特徴です。「ドバイ・ランド・デパートメント(DLD)」が不動産市場の管理を行い、不動産価格や取引件数のデータも公的に公開されているため、投資判断を行う際の信頼性も高いといえます。
タックスヘイブン施策が魅力になっているから
ドバイが投資家から人気を集める理由の一つに、圧倒的な税制上の優遇措置が挙げられます。ドバイは所得税、キャピタルゲイン税(譲渡所得税)、固定資産税といった主要な税金を課していないため、得られた賃料収入や売却益をそのまま手取りとして享受できるという利点があります。
同じ利回りの不動産投資をしていても、累進課税制度を採用している日本や欧米諸国と比べて、ドバイでは最終的に手元に残る収益が非常に多くなるのです。
投資家に極めて有利なタックスヘイブン施策が、ドバイ不動産市場を世界的な注目の的にしている大きな要因といえます。
ドバイ不動産の利回りはどれくらい?
ドバイの不動産市場における最大の魅力の一つが「高利回り」です。世界各国の大都市と比較しても、ドバイは平均的に高いインカムゲインを得られます。税金の負担が軽いため、実質的な利回りは他国よりも優れている場合が多く、利回り重視の投資家にとって非常に魅力的なマーケットとなっています。
ドバイ不動産の平均利回り
ドバイの不動産市場では、利回りは物件の種類、エリア、築年数、管理状況などによって大きく変動しますが、全体としてはおおむね5~9%の範囲に収まります。これは、ニューヨークやロンドン、東京などと比較しても高水準です。
ドバイでは短期賃貸市場も活発です。Airbnbなどを活用した短期賃貸運用では、通常の年間契約に比べてさらに高い利回りが期待できる場合もあり、繁忙期(例:冬季観光シーズン)には家賃収入が大きく跳ね上がるケースもあります。
エリア別の平均的な利回り
ドバイ市内には数多くの居住区・開発エリアが存在し、それぞれ異なるタイプの入居者ニーズに応じて市場が形成されています。
インターナショナルシティやドバイ・スポーツシティなどの新興エリアでは、物件価格が比較的低いため利回りが高くなる傾向があります。こうしたエリアでは、スタジオや1ベッドルームのアパートメントで7~9%の利回りを実現するケースもあります。
逆に、ダウンタウン・ドバイやパーム・ジュメイラなどの高級エリアでは、物件価格が非常に高いため、賃料収入の割に利回りがやや低めとなる傾向があります。これらのエリアでは、5~6%台が標準的な利回りです。
しかし、ブランド価値や将来の値上がり期待を重視する投資家にとっては、利回りよりもキャピタルゲイン重視の投資戦略が有効となります。
物件別の利回り
物件タイプによっても利回りには大きな違いがあります。アパートメントとヴィラ、それぞれの特性と利回りの傾向について解説します。
アパートメント
アパートメントは、ドバイの不動産市場において、もっとも人気が高い投資対象の一つです。スタジオや1ベッドルームなどの小規模ユニットは初期投資額が少なく済む上、入居者のターゲットが広いため、稼働率も高く維持しやすいという特徴があります。
一般的に、アパートメントの利回りは6~9%の範囲で推移しており、スタジオユニットでは高利回りとなるケースもあります。ターゲットは主に単身赴任者や若年層、短期滞在の外国人労働者などであり、ドバイの多国籍な人口構成にマッチしています。
ヴィラ
ヴィラはドバイの中・高所得層に人気の住宅タイプで、ファミリー層や長期滞在者に好まれる傾向があります。広々とした居住空間や庭付きの住環境、プールやバーベキュースペースなどを完備した物件も多く、ラグジュアリーなライフスタイルを提供できる点が強みです。
しかし、ヴィラは物件価格が高額であるため、利回りはアパートメントよりも低くなる傾向があります。一般的なヴィラの利回りは5~6%程度とされており、場合によっては4%台にとどまります。
ただし、ヴィラにはもう一つの魅力である資産価値の安定性があります。高所得層に支えられて比較的価格が下がりにくく、今後も価格が上昇していくと期待されています。このため、インカムゲインよりもキャピタルゲイン重視の投資家に適しています。
ドバイ不動産投資のメリット
ドバイにおける不動産投資の魅力は、単に利回りが高いだけではありません。ここでは、注目すべきドバイ不動産投資のメリットを解説します。
- キャピタルゲインも狙える
- 不動産市場に将来性がある
- 投資家向けの居住ビザ制度がある
キャピタルゲインも狙える
ドバイの不動産は利回りだけでなく、将来的な資産価値の上昇も十分に狙える点で、多くの投資家に支持されています。ドバイ政府は都市開発に非常に積極的で、次々に新しいインフラや観光・ビジネス施設が誕生しており、これが不動産価格にポジティブな影響を与えています。
ドバイ・メトロの延伸や新空港「アール・マクトゥーム国際空港」の拡張計画など、交通インフラの整備も進んでおり、これらのエリアにある物件は今後さらに値上がりする可能性が高いと予想されています。
タイミング次第では、短期間で高いキャピタルゲインを得られる可能性もあるのが、ドバイ市場の魅力です。物件選定とタイミングを見極めることで、インカムゲイン+キャピタルゲインの「ダブル収益構造」が実現できるのです。
不動産市場に将来性がある
ドバイは都市としてまだ発展の余地を多く残しており、それが投資家にとっての将来性として強く評価されています。現在も年間数万人規模で人口が増加しており、その多くが外国人労働者やビジネス駐在員です。こうした人々が住むための住宅需要が安定的に存在するため、賃貸市場の活況と不動産価格の底堅さにつながっています。
政府は「ドバイ2040都市マスタープラン」を掲げており、今後20年で住環境・商業環境・観光インフラをさらに拡充していく方針を打ち出しています。これにより、既存エリアの価値向上だけでなく、新たな投資エリアの創出が継続的に期待できるのです。
投資家向けの居住ビザ制度がある
ドバイでは、不動産購入を通じて居住ビザを得られることが、他国にない大きなメリットです。一定額以上の不動産購入によって長期滞在を可能にする「不動産ビザ(Property Owner Visa)」や「ゴールデンビザ(Golden Visa)」が取得できます。
75万ディルハム(約3,750万円)以上の物件の購入によって、不動産ビザが取得でき、家族とともに2年間の居住が可能になります。また、200万ディルハム(約8,000万円)以上の不動産に投資すると、5年間または10年間有効なゴールデンビザを取得する道も開かれています。
こうした居住ビザ制度によって、単なる投資物件としてではなく、「セカンドハウス」や「移住先」としての選択肢も拡がります。将来的な移住を視野に入れた投資を行う方にとって、ドバイはまさに「住んで得する都市」といえるでしょう。
ドバイ不動産投資のリスク
ドバイ不動産市場には多くのメリットがありますが、同時に無視できないリスクも存在します。ここでは、ドバイ不動産投資の主なリスクについて解説します。
- 為替リスクがある
- 経済危機による価格変動リスクがある
- 法令や税制が変更される可能性がある
- 融資の活用が難しい
為替リスクがある
ドバイの通貨・ディルハム(AED)は米ドルにペッグされているため、新興国でよく見られる通貨危機が起こりにくいとされています。ただし、日本円からの投資では、ドル/円の為替変動が影響します。投資時よりも将来的に円安に振れれば為替差益が得られる可能性がありますが、逆に円高に進めば、為替差損が発生する可能性もあります。
したがって、為替レートの推移にはつねに目を光らせる必要があります。為替リスクは、ドバイへの不動産投資に限らず海外投資に必ずつきまとう問題なので、為替差損に負けない利回りを目標にします。
経済危機による価格変動リスクがある
ドバイは非常にダイナミックな成長を遂げてきた都市である反面、経済の外部要因に対して敏感な側面も持っています。過去には2008年の世界金融危機「リーマンショック」に伴いドバイ不動産バブルが崩壊、いわゆる「ドバイショック」と呼ばれた価格暴落が発生し、物件価格が30~50%下落したケースもあります。
近年では新型コロナウイルスの影響による観光・物流の停滞が、不動産市場に大きな打撃を与えました。
アメリカのトランプ政権による関税政策が、世界経済に重大な影響を及ぼす可能性も見えてきました。ドバイ不動産市場の特性と過去の価格変動の歴史を把握し、長期的な視野でリスクを受け入れる準備が必要です。
法令や税制が変更される可能性がある
ドバイは外国人投資家に非常に開かれた法制度を維持していますが、それが永続的に保証されているわけではありません。政治的には安定しているものの、法律や規制、税制の変更が行われるリスクはつねに存在しています。
安心して長期保有を目指すためにも、最新情報を把握しリスク管理を徹底する必要があります。
融資の活用が難しい
日本国内とは異なり、ドバイで外国人が不動産購入時に融資を受けることはハードルが高いのが実情です。現地銀行からのローンには高い審査基準が設けられており、居住者向けでない限り、融資条件は厳しく設定されています。
仮に融資が通った場合でも、金利は年率4~6%程度と、日本国内の不動産投資ローン金利と比べてかなり高めです。また、返済期間や頭金比率についても、保守的な設定が多いため、大半の投資家は自己資金による購入を前提に検討せざるを得ません。
日本の金融機関の融資を活用してドバイで物件を取得する方法も選択肢の一つですが、一般的に融資審査が厳しく金利も高めに設定されているため、慎重な判断が求められます。
まとめ
ドバイ不動産市場は、国際都市としての成長性、制度面の開放性、そして高い収益性を兼ね備えた非常に魅力的な投資先です。日本をはじめとする先進国の都市と比べても、インカムゲインにおいては高い利回りが得られるケースが多く、またキャピタルゲインを同時に狙える点も投資家にとって大きな強みです。
ドバイ不動産投資は、「世界都市に資産を構築する」という視点から見ると、その魅力はさらに広がります。将来的なセカンドライフや、子ども世代への資産承継、国際的な事業展開の拠点としても、ドバイの不動産は非常に有望な選択肢といえるでしょう。