ドバイの不動産は、高い利回りと将来性の高さで世界中の投資家を魅了しています。しかし、正確な投資判断には実際のデータにもとづく理解が不可欠です。ここでは、最新の市場データを基に、価格動向、人気エリアの特徴、賃貸需要の推移、購入プロセスを詳しく解説します。
※この記事では、1AED=40円で為替計算しています。
ドバイ不動産の現状
まずは、ドバイ不動産の実際のデータをひもといてみましょう。
価格・取引データから見るドバイ不動産の現状
ドバイの不動産価格は、その急激な経済発展に比例して上昇し続けています。ドバイの不動産統計をまとめている「DXB Interact」からデータを見ていきます。
ピックアップするのは、ドバイ全エリア平均のアパートメント(マンション)価格です。全体の物件価格と、スクエアフィート(sqft)あたりの価格を確認してみます。スクエアフィートは、1フィート×1フィートの正方形の面積を表す面積単位で、約0.0929平方メートルに相当します。
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年 | 物件価格(AED) | sqft価格(AED) |
---|---|---|
2019 | 986,424 | 1,283 |
2020 | 895,683 | 1,101 |
2021 | 1,025,000 | 1,185 |
2022 | 1,248,546 | 1,526 |
2023 | 1,240,000 | 1,521 |
2024 | 1,268,881 | 1,635 |
参照元:DXB Interact
2020年は新型コロナウイルス拡大によって一時的に落ち込みましたが、2021年以降は急速に回復を遂げていることがわかります。2024年には、1,268,881AED(約5,075万円)にまで平均価格が上昇しています。
ドバイでは、高級物件が依然として国際的な投資家の関心を集めていますが、中価格帯の住宅需要も拡大しており、家族向け住宅や中長期滞在者向けの物件が堅調です。
次に、販売件数のデータを見てみましょう。

年 | 販売件数 |
---|---|
2019 | 274,000 |
2020 | 272,000 |
2021 | 398,000 |
2022 | 675,000 |
2023 | 999,000 |
2024 | 1,421,000 |
販売件数も2022年から急激に上昇しており、この勢いは現在も止まっていません。外国人投資家の参入が市場の成長を強力に後押ししている状況がわかります。
需要と供給のバランス
ドバイ不動産の特徴は、旺盛な需要と新規供給のバランスにあります。人口の増加や外国人労働者の流入によって住宅需要は強く維持されていますが、新築物件の供給は追いついていない状況が続いています。
政府は長期的な都市計画を打ち出し、ドバイメトロの延伸や新興地域の開発を進めていますが、依然として需要の勢いに対して供給が不足する局面も多く見られます。不動産価格・賃料ともに上昇圧力が強まっており、投資家にとっては魅力的な環境が醸成されているといえます。
ドバイにおける人気エリアの不動産価格データ比較と投資戦略
ここでは、ドバイにおける有名エリアの不動産価格を比較します。データを比較すると、エリアごとの特徴をつかむことができ、投資家は投資戦略を組み立てられます。ドバイは都市全体が開発段階にあり、エリアごとに特色がはっきりしているため、投資対象を選ぶ際にはそれぞれの特性を理解することが不可欠です。
- ダウンタウン・ドバイ
- ドバイマリーナ
- パームジュメイラ
- ビジネスベイ
- ジュメイラビレッジサークル(JVC)
- ドバイサウス
ダウンタウン・ドバイ
ブルジュハリファを中心としたダウンタウン・ドバイは、ドバイを代表する高級住宅エリアです。高層マンションや高級ホテルが集中しており、国際的なブランド価値を持つこの地域は、安定した価格上昇が見込めます。アパートメント価格の推移は次のとおりです。

年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 1,948,888 |
2020 | 1,970,388 |
2021 | 2,295,444 |
2022 | 2,368,888 |
2023 | 2,500,000 |
2024 | 2,822,808 |
コロナ禍でも価格は落ち込んでおらず、一貫して上昇しています。2024年には、2,822,808AED(約1億1,291万円)にまで到達しており、「億ション」が当たり前になっている状況です。
ドバイマリーナ
外国人投資家にもっとも人気のあるエリアの一つがドバイマリーナです。海に面したリゾート的な立地と、高層住宅が織りなす景観が特徴で、運用利回りはドバイ全体の中でも高水準を維持しています。
短期滞在者や観光客に支持されるエリアであり、Airbnbを通じた短期賃貸需要が強いのも大きな魅力です。アパートメント価格の推移は次のとおりです。

年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 1,668,888 |
2020 | 1,575,000 |
2021 | 2,050,000 |
2022 | 2,170,000 |
2023 | 2,982,924 |
2024 | 2,525,000 |
こちらも2021年以降急回復していますが、2023年の急激な価格上昇の反動で2024年は下落を記録しています。このエリアはヴィラ(戸建て住宅)も人気があるため、ヴィラの価格推移も確認してみます。
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年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 5,250,000 |
2020 | 4,210,677 |
2021 | 5,200,000 |
2022 | 7,000,000 |
2023 | 5,275,000 |
2024 | 6,500,000 |
ドバイマリーナのヴィラ価格は高騰しており、2022年には7,000,000AED(約2億8,000万円)を記録しました。
パームジュメイラ
人工島として世界的に有名なパームジュメイラは、超高級物件の象徴的エリアです。観光リゾートの中心地であり、海沿いのヴィラや高級アパートメントは富裕層や海外セレブに人気です。物件価格は高額ですが、その希少性とブランド力から長期的に安定した投資価値が見込めます。アパートメント価格の推移は次のとおりです。

年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 1,691,509 |
2020 | 1,266,532 |
2021 | 2,200,000 |
2022 | 3,718,800 |
2023 | 3,908,800 |
2024 | 3,850,000 |
こちらもコロナ禍でいったん落ち込みましたが、その後急上昇しています。ヴィラの価格も見ていきます。
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年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 9,000,000 |
2020 | 8,500,000 |
2021 | 13,775,000 |
2022 | 20,000,000 |
2023 | 28,000,000 |
2024 | 30,500,000 |
2021年からの価格急上昇は勢いが止まらず、2024年には30,500,000AED(約12億2,000万円)にまで跳ね上がっています。
ビジネスベイ
ビジネスベイは高層ビルが立ち並ぶ新しいビジネス拠点であり、金融や商業活動の中心地として発展しています。周辺には高級ホテルやオフィスビルが集中しており、観光とビジネスの両方の需要を取り込んでいます。住宅需要も強く、ダウンタウンドバイに近い立地でありながら価格が比較的抑えられているため、今後の成長性が高いと評価されています。アパートメント価格の推移は次のとおりです。

年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 1,102,917 |
2020 | 1,199,000 |
2021 | 1,157,279 |
2022 | 1,257,475 |
2023 | 1,432,000 |
2024 | 1,577,599 |
順調に不動産価格は上昇していますが、2024年段階で1,577,599AED(約6,310万円)と比較的リーズナブルです。
ジュメイラビレッジサークル(JVC)
新興開発地域の代表格であるジュメイラビレッジサークル(JVC)は、手頃な価格と将来の成長性が投資家から注目を集めています。外国人家族や若年層の駐在員に人気が高く、賃貸需要は堅調です。
大型ショッピングモールや学校などの生活インフラも整備されつつあり、中長期的に価格上昇が期待されるエリアです。アパートメント価格の推移は次のとおりです。

年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 561,729 |
2020 | 580,000 |
2021 | 590,000 |
2022 | 640,502 |
2023 | 765,000 |
2024 | 875,000 |
JVCの不動産価格は右肩上がりですが、2024年段階で875,000AED(約3,500万円)と他の人気エリアと比べるとまだまだ割安です。
ドバイサウス
ドバイ国際空港の拡張計画やエクスポ2020跡地の再開発によって注目を浴びる新興エリアがドバイサウスです。住宅価格はまだ手頃ですが、物流拠点や産業地区としても開発が進んでおり、長期投資に向いたエリアとされています。アパートメント価格の推移は次のとおりです。

年 | 物件価格(AED) |
---|---|
2019 | 575,000 |
2020 | 630,000 |
2021 | 620,000 |
2022 | 698,608 |
2023 | 1,100,000 |
2024 | 982,000 |
こちらも2024年段階で982,000AED(約3,928万円)と、割安価格で購入可能です。
ドバイ不動産の賃貸需要動向と投資戦略
人口増加と観光需要を背景に、ドバイの賃貸市場の拡大は投資収益性を高めています。世界各国から人が集まるビジネスハブであるドバイは、住宅の需要が途切れることがなく、長期的に安定した賃貸市場を形成しています。
人口の動向
ドバイの人口は日に日に増加しています。ドバイ統計センターの「Population Clock」によると、ドバイの人口は現在399万人です。
ドバイは移住者や外国人労働者が全人口の約90%を占めており、人口の増加が住宅需要を押し上げています。インド、パキスタン、フィリピンなどからの労働者層と、ヨーロッパ各国や中国・韓国からの駐在員層の両方に住宅ニーズがあります。
政府の政策によって長期ビザが発給されるようになり、これが不動産需要をさらに強める要因となっています。
観光客数の推移
観光立国としてのドバイは、毎年2,000万人近くの観光客を迎えており、この流れがホテルなど観光業とともに短期賃貸市場を支えています。
ドバイ経済観光省(DET)の最新データによると、海外からの訪問者総数は2025年の1月〜6月で988万人となりました。これは、2024年の同時期に比べると57万人多く、観光客・ビジネス客が引き続き流入していることがわかります。
参照元:DET
長期賃貸と短期賃貸
長期賃貸は駐在員や移住者に安定して貸し出せるため、収益が安定している点が魅力です。一方で、短期賃貸は観光需要に応じて高利回りが期待できます。ハイシーズンには欧州からの避寒需要が高まり、ホテルだけでなくサービスアパートメントや民泊物件への需要も急増します。
ただし、Airbnbによる短期賃貸を行うには、「ホリデーホームライセンス」を取得する必要があります。アパートメントによっては、管理組合の規約で民泊禁止となっている場合もありますので、注意が求められます。
ドバイ不動産購入の流れと注意すべきポイント
ドバイでの不動産購入は日本と異なるルールが多く、契約には注意が必要です。最後に、ドバイ不動産購入のおおまかな流れを解説します。
- 物件選定・契約前の確認事項
- 契約とデポジットの支払い
- 販売購入契約書(SPA)の締結
- 残代金の決済と引き渡し
- 購入後の管理・運営
1.物件選定・契約前の確認事項
投資家はまず信頼できるデベロッパーやエージェントを選びます。過去の完成実績や建物の品質、財務状況を調査し、RERA(不動産規制庁)に登録されているかを必ず確認します。
知名度や広告だけで判断せず、実際に完成済み物件を視察すると良いでしょう。外国人投資家はフリーホールドエリアの物件しか購入できないため、対象エリアを事前に把握しておくことも重要です。
2.契約とデポジットの支払い
購入の意思を示すために、予約契約(Booking Form)にサインし、購入価格の10%から20%程度をデポジット(手付金)として支払います。この段階での判断は慎重さが求められ、キャンセル時に手付金が返金されない場合も多いため、契約内容の確認は必須です。
3.販売購入契約書(SPA)の締結
デポジットの支払い後、デベロッパーから送付されるのがSPA(Sale and Purchase Agreement)です。契約書には物件の仕様、完成予定日、支払いスケジュール、遅延時のペナルティなどが細かく規定されており、法的拘束力を持ちます。
4.残代金の決済と引き渡し
物件完成後に残代金を支払い、ドバイ土地局(DLD)で所有権の登録を行って正式にオーナーとなります。登録によって発行される「Title Deed」が不動産の権利証書であり、所有権を公的に保証するものです。
5.購入後の管理・運営
購入後の不動産管理は投資収益の安定性に直結します。入居者募集や賃料回収、物件のメンテナンスを委託できる管理会社を選ぶことで、投資家は煩雑な業務から解放されます。管理会社の手数料やサービス内容は多種多様なので、複数社を比較検討して最適なパートナーを選ぶことが肝心です。
まとめ
ドバイ不動産は高利回りと人口増加、インフラ投資に支えられて成長を続けています。エリアによって価格動向や賃貸需要に差があり、デベロッパー選びや購入プロセスにも注意が必要です。
しかし、正しい情報と戦略をもって臨めば、インカムゲインとキャピタルゲインを両立できる可能性があります。投資家にとってドバイは、今後も魅力的な選択肢であり続けるでしょう。
ドバイの不動産投資にご興味をお持ちの場合は、当サイト「ドバイ不動産投資ガイドfor日本人」までお気軽にお問い合わせください。当サイトでは、ドバイ現地で不動産の情報を収集しており、不動産の賃貸や売買の仲介も行っております。
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