近年、ドバイの不動産市場は世界中の投資家から熱い視線を浴びています。税制優遇や高利回り、長期滞在ビザの取得など、他国にはない多くの魅力があるからです。
今回は、これからドバイ不動産投資を検討される方に向けて、基礎知識からメリット・リスク、投資先として注目すべきエリアまでを徹底解説します。
ドバイ不動産投資の基礎知識と魅力
ドバイがなぜ世界から投資マネーを呼び込んだのか、まずは基礎的な知識と魅力について解説します。
世界が注目するドバイ経済の成長性と安定性
ドバイは、石油依存からの脱却を目指す政府主導の強力な経済多角化政策によって、目覚ましい発展を遂げてきました。観光、金融、物流、ICTといった非石油分野が経済の中心となり、持続的な成長を実現しています。
世界最大級のドバイ国際空港(DXB)は、世界中からの人々の往来を支え、中東・アフリカ地域のハブとして機能しています。ドバイ国際金融センター(DIFC)は、国際的な金融機関を多数誘致し、中東における金融の中心地としての地位を確立しました。これらの強力な経済基盤が、つねに不動産に対する旺盛な需要を生み出しています。
ドバイ政府は、安定した政治・社会基盤を強みとしています。治安の良さや、多文化を受け入れる寛容な社会は、世界中の富裕層やビジネスパーソンを引き寄せ、不動産市場の安定をさらに後押ししています。2020年のドバイ万博の開催も、都市インフラの整備を加速させ、不動産価値の向上に大きく貢献しました。
ドバイは政府の強力なビジョンと安定した社会構造によって、他の新興国とは一線を画す経済成長性を実現したのです。
外国人投資家を惹きつける税制優遇制度
ドバイが世界中の投資家を惹きつける最大の要因の一つが、タックスヘイブン政策(税制優遇制度)です。ドバイには、所得税、キャピタルゲイン税(譲渡所得税)、固定資産税、相続税、贈与税がありません。法人税も9%と低く設定されており、一定の条件を満たす場合非課税となります。
日本で不動産を所有した場合、家賃収入に対しては所得税や住民税が課税され、不動産を売却した際には譲渡所得税が発生します。固定資産税や都市計画税も支払う必要があります。ドバイではこれらの税金がゼロであるため、得られた収益や売却益をそのまま再投資に回すことができ、資産形成のスピードを劇的に加速させることが可能です。
外国人でも完全所有権を取得可能
ドバイの不動産投資におけるもう一つの大きな魅力は、特定のエリア(フリーホールドエリア)において、外国人でも土地と建物の両方に対して完全所有権(フリーホールド)を取得できることです。
新興国では、外国人が土地を所有することが制限されたり、借地権(リースホールド)としてしか認められなかったりするケースがあります。ドバイのフリーホールドエリアでは、自国民と同様に、投資家が不動産を完全に所有し、自由に売却、賃貸、相続が可能です。
ドバイ不動産投資のメリット
ドバイ不動産投資には、多岐にわたるメリットがあります。ここでは、ドバイ不動産投資のメリットについて解説します。
- 税制ゼロで資産形成を加速できる
- 高利回り運用が期待できる
- 不動産価格の上昇が見込める
- 不動産投資で長期滞在ビザが取得できる
税制ゼロで資産形成を加速できる
前述のとおり、ドバイには所得税、固定資産税、相続税などが存在しません。税制優遇が、投資家にとってどれほど大きなメリットになるか、具体的な例を挙げて考えてみましょう。
日本で年間家賃収入が1,000万円あるとします。不動産所得は総合課税であるため、給与所得や事業所得などと合算した額からもろもろの控除を差し引いた額が課税所得となります。仮に課税所得が1,800万円とすると、税率は40%、控除額は279万6,000円となるため、所得税額は440万4,000円となります。
これに住民税・復興特別所得税がさらに課税されるため、全体では約630万円の税金となる計算です。
ドバイで同じ家賃収入を得ても、これらの税金がゼロとなります。所得がまるまる手元に残るため、生活資金として消費しても良いですし、投資資金として再投資に回しても構いません。
この差額は、単年度の収益額だけにとどまりません。複利効果によって資産形成のスピードが飛躍的に向上します。長期的な資産拡大を目指す投資家にとって、他国では得られないドバイならではの最大のメリットといえるでしょう。
ただし、日本に居住している間は、日本国内での納税義務が発生します。ドバイの税制メリットを享受するためには、日本の非居住者となる必要があります。
高利回り運用が期待できる
ドバイの不動産市場は、世界でも有数の高利回りを誇ります。都心部の高級物件や観光客向けの物件では、年間5%から9%の利回りが期待できるケースも珍しくありません。
高利回りを実現している要因は、主に2つあります。
一つは、世界中から集まる観光客や富裕層、企業の駐在員など、賃貸物件に対する旺盛な需要です。ドバイは国際的なビジネスハブであると同時に、世界的な観光地でもあります。そのため、短期滞在向けのサービスアパートメントや、長期滞在者向けの高級住宅など、多様なニーズに応じた賃貸需要が存在します。
もう一つの要因は、不動産の購入価格に対して、家賃設定が高水準である点です。ドバイの平均的な家賃水準は、日本の主要都市と比較しても高く、高利回りの源泉となっています。観光シーズンには、短期賃貸の需要が急増し、より高い収益を期待できます。
不動産価格の上昇が見込める
過去のデータを見ても、ドバイの不動産は長期的な価格上昇のトレンドを示しています。ドバイの価格上昇を支えているのは、堅調な人口増加と経済成長、国際的なイベントの開催です。
ドバイは、政府主導の移民政策によって、世界中から優秀な人材や労働者を引き寄せています。人口増加は、住宅に対する基本的な需要を押し上げるもっとも強力な要因の一つです。
経済の多角化が進む中で、新たな産業が次々と生まれ、雇用機会も拡大しています。ドバイに住みたいと考える人々が増え続け、不動産市場はつねに活性化されています。
市場には価格変動リスクも存在しますが、ドバイ政府は都市の競争力を高めるための戦略を打ち出しており、これらが長期的な不動産価値の上昇を期待させています。
不動産投資で長期滞在ビザが取得できる
ドバイの不動産投資には、収益性だけでなく、長期滞在ビザが取得できるという大きな魅力があります。単なる投資機会以上の、ライフスタイルの選択肢を広げるメリットといえるでしょう。
ドバイ政府は、一定額以上の不動産を購入した外国人投資家に対し、不動産ビザ(Property Visa)や、より長期的な滞在が可能なゴールデンビザ(Golden Visa)を発行しています。
不動産ビザでは、75万AED(約3,000万円)以上の不動産購入で、2年間の滞在ビザを取得できます。ゴールデンビザでは、200万AED(約8,000万円)以上の不動産購入で、5年間、または10年間の滞在ビザを取得できます。
長期滞在ビザにより、ドバイに生活拠点を移し、税制優遇を最大限に享受しながら、ビジネスや教育、医療といったドバイの豊かな社会インフラを活用できます。ビザの有効期限が比較的長く、更新も可能で、家族の帯同も認められているため、安心してドバイでの生活を計画できます。
ドバイ不動産投資のデメリットとリスク管理
ドバイ不動産投資には多くのメリットがありますが、他の投資と同様にリスクも存在します。ここでは、ドバイ不動産投資のデメリットとリスク管理について解説します。
- 外国人向け融資が限定的になる
- 不動産価格の変動リスクがある
- 為替リスクがある
- 悪質な現地エージェントがいる
外国人向け融資が限定的になる
ドバイで不動産投資を行う際、日本の不動産投資のように、金融機関からの融資を活用したレバレッジ戦略を立てることは難しいのが実情です。
多くのドバイの金融機関は、外国人投資家に対しては融資条件が厳しく、多額の頭金(通常、物件価格の25〜50%)を求められます。融資審査には、安定した収入や資産状況を示す複雑な書類が必要となり、手続きに時間と労力がかかります。
融資審査が通ったとしても、金利が高く、イールドギャップ(利回りと金利との差)は低いものとなってしまい、投資妙味は減退します。
日本国内の金融機関による融資を利用して、ドバイの物件を購入する手法もありますが、日本国内の不動産を担保として用意する必要があるなど、利用のハードルは高くなります。
ドバイ不動産投資は、現金投資が基本となります。綿密な資金計画を立て、無理のない範囲で投資を行うことが不可欠です。
不動産価格の変動リスクがある
ドバイの不動産市場は、政府の強力な政策と経済成長に支えられていますが、世界経済の変動や地政学的なリスクの影響を受ける可能性は否定できません。
過去には、2008年のリーマンショックや、新型コロナの影響で不動産価格が一時的に下落した時期もありました。ドバイの経済は、観光や海外からの投資に大きく依存しているため、これらの外部要因が不動産市場に直接的な影響を与えます。
リスクを軽減するためには、短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を考える必要があります。エリアや物件の種類、投資時期を集中させず、分散投資の意識化も有効なリスクマネジメントとなります。
為替リスクがある
ドバイ不動産投資に限らず、円で資金を準備する日本の投資家が海外投資をする際には、為替リスクが避けられません。ドバイの通貨であるディルハム(AED)は、米ドルと固定相場制(ペッグ)で結ばれており、新興国にありがちな通貨危機は起こりにくいとされています。ただし、円とドルの為替変動の影響は直接的に受けることになります。
円安の時に物件を購入すると、円換算での物件価格が上昇し、より多くの円を支払います。将来的に物件を売却し、売却益を円に戻す際に円高になっていれば、円換算でのリターンが目減りする可能性があります。
為替リスクについては、完全なヘッジはできません。基本的には、為替の変動を考慮に入れた長期投資を目指します。為替差損を上回るリターンを得るのが目標といえるでしょう。
悪質な現地エージェントがいる
ドバイでの不動産投資において、信頼できる現地エージェントの存在は、成功への鍵を握ります。残念ながら、中には不誠実なエージェントや詐欺案件も存在するため、エージェント選びは慎重に行う必要があります。
悪質なエージェントは、不正確な情報を提供したり、不透明な取引を強要したりします。法外な手数料を請求されたり、最悪の場合、投資した資金を失ってしまうリスクもあります。失敗を避けるためには、次のポイントを参考にエージェントを選ぶことをおすすめします。
- ライセンスの確認
- 実績と評判の確認
- 丁寧な対応と情報提供
ライセンスの確認
ドバイ不動産監督庁(RERA)に登録されている正規のエージェントであるかを確認します。
実績と評判の確認
過去の取引実績や、オンラインでの口コミ、評価を調べます。日本語でのサポートが可能かどうかも確認しましょう。
丁寧な対応と情報提供
質問に対して明確で丁寧な回答をしてくれるか、リスクについても正直に説明してくれるかを見極めます。
ドバイ不動産の注目エリアの比較
ドバイの不動産市場は広大で、エリアごとに物件価格、利回り、将来性が大きく異なります。ここでは、特に外国人投資家から注目されている代表的なエリアを比較し、それぞれの特徴と投資のポイントを解説します。
- パームジュメイラ
- ドバイマリーナ
- ドバイ・ダウンタウン
- ビジネスベイ
- ジュメイラ・ヴィレッジ・サークル(JVC)
パームジュメイラ
ヤシの木の形をした人工島パームジュメイラは、ドバイを象徴する最高級リゾートエリアです。豪華なホテル、ビーチフロントの別荘、高級アパートメントが立ち並び、海上からの絶景を楽しめる特別なロケーションが最大の魅力です。
このエリアの物件価格はドバイでも最高水準ですが、その分、別荘利用や短期賃貸での高い収益が期待できます。富裕層や観光客からの需要が高く、世界的なリゾート地としてのブランド力も強みです。安定した高い資産価値を維持しやすく、長期的な資産保全を目的とする投資家にも適しています。
ドバイマリーナ
世界最大級の人工マリーナを中心に広がるドバイマリーナは、高層タワーマンションが林立する、活気あふれるウォーターフロントエリアです。カフェやレストラン、ショッピングモールが充実しており、観光客だけでなく、多くの駐在員や富裕層が居住しています。
賃貸需要が高く、年間を通じて安定した賃貸収入が期待できることが特徴です。エリア全体で再開発が進んでおり、新たな商業施設やインフラの整備計画も多数存在します。今後も物件価値が上昇する余地が大きいと見られているエリアです。
ドバイ・ダウンタウン
世界一の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」と、世界最大級のショッピングモール「ドバイモール」が位置するドバイ・ダウンタウンは、ドバイの象徴であり、まさに「ドバイの中心」といえるエリアです。
商業、観光、居住の中心地として、つねに高い需要があり、不動産価値も安定しています。高級ホテルやブランドショップ、エンターテイメント施設が集積しており、国内外からの観光客やビジネスパーソンで賑わっています。安定した資産価値を維持しやすく、長期的な投資に適しています。
ビジネスベイ
ドバイ・ダウンタウンに隣接するビジネスベイは、ドバイ運河沿いの再開発によって急成長を遂げているビジネス中心地です。高層オフィスビルと高級レジデンスが混在しており、ドバイの新たなビジネスハブとして注目されています。
このエリアは、賃貸需要が高く、比較的高い利回りが期待できます。ドバイ運河沿いの開発が進むにつれて、ウォーターフロントの景観を活かした物件の価値が向上しています。ビジネスパーソンからの需要が安定しており、今後の都市開発による将来的な価値向上も見込まれます。
ジュメイラ・ヴィレッジ・サークル(JVC)
ドバイの中心部から少し離れた場所に位置するジュメイラ・ヴィレッジ・サークル(JVC)は、比較的中価格帯で高利回りが狙える住宅地として人気を集めています。広大な敷地に低層から中層の住宅が広がり、公園や緑地も多く、ファミリー層や長期居住者からの需要が高いエリアです。
ドバイの中心部へのアクセスも良好でありながら、落ち着いた住環境が魅力です。近年、インフラ整備が急速に進んでおり、スーパーマーケットや学校、クリニックなどの生活施設が充実してきています。今後のさらなる人口流入とそれに伴う物件価値の向上も期待されています。
まとめ
ドバイ不動産投資は、税制優遇、高利回り、不動産価格の上昇、長期滞在ビザの取得といった、多くの魅力的なメリットを併せ持っています。他の国ではなかなか得られないものであり、世界中の投資家がドバイに注目する理由となっています。
ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、各エリアの特徴を比較検討し、もっとも適した物件の選定が重要です。
ドバイでの不動産投資にご興味をお持ちの場合は、当サイト「ドバイ不動産投資ガイドfor日本人」までお気軽にお問い合わせください。当サイトでは、ドバイ現地で不動産の情報を収集しており、不動産の賃貸や売買の仲介も行っております。
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