ドバイと聞くと「富豪の街」というイメージが強く、不動産価格も高いと思われがちです。しかし、世界的に不動産価格が高騰するなか、ドバイの不動産は依然として割安と評価されています。
ドバイの不動産市場は、整備された都市インフラと外国人投資家に開かれた制度に支えられ、今後もさらなる成長が見込まれており、現在はまだ割安と思われているのです。今回は、主要な国際都市と比較しながら、ドバイ不動産の割安性を検証します。さらに、投資のメリットやリスク、成功するためのポイントを解説していきます。
※この記事では、1AED=40円で為替計算しています。
ドバイ不動産に注目が集まる背景
ドバイ不動産に注目が集まる背景には、単なる高級リゾート都市というイメージを超えた経済成長の実態と、投資家にとって有利な環境があります。まずは、ドバイ不動産に注目が集まる背景について解説します。
- ドバイ経済急成長をし続けているから
- 外国人投資家を歓迎する政策が実施されているから
ドバイ経済急成長をし続けているから
アラブ首長国連邦(UAE)の一員であるドバイは、かつては石油収入に依存していました。しかし、今や経済は観光、金融、ICT、物流と多角化しています。ドバイ国際空港は世界屈指の利用者数を誇り、国際的な交通の要所としての地位を築いています。
「ドバイエクスポ2020」の開催を契機にインフラ開発が急ピッチで進み、地下鉄(メトロ)や路面電車(トラム)、道路網、港湾施設の整備が加速しました。都市全体の利便性と国際競争力の向上が、不動産市場の需要を押し上げる格好です。
外国人投資家を歓迎する政策が実施されているから
ドバイは、中東でも外国人に開かれた不動産市場を整えています。指定された「フリーホールドエリア」では、外国人が不動産の完全な所有権を取得でき、長期的な投資や居住が可能です。
不動産購入額に応じた長期滞在ビザの取得制度も整っており、移住や事業拠点を求める富裕層を惹きつけています。外国人の不動産所有権や、比較的低いハードルで居住ビザを発給するこうした制度は、諸外国に類を見ないため、富裕層や投資家にとって大きな魅力となっているのです。
世界主要都市との価格比較で見る「ドバイ不動産の割安感」
ドバイ不動産の割安感は、実際に世界主要都市の不動産価格と比べると際立ちます。
主要都市の不動産価格を徹底比較
世界的な資産インフレの進行によって、有名都市の不動産価格は近年高騰が続いています。統計データから、ドバイの不動産価格と、東京・ロンドン・シンガポールの価格を比較してみます。
ドバイ(例:中心部、郊外)
ドバイの不動産価格は、中心部と郊外で大きく異なります。
たとえば、ドバイを代表する商業・観光地区ドバイダウンタウンの2025年7月時点の平均アパートメント(マンション)価格は、307万AED(約1億2,280万円)となりますが、郊外の新興住宅地ジュメイラビレッジサークル(JVC)のアパートメント価格は97万5,000AED(約3,900万円)で、約3倍の開きがあります。
出典:DXB Interact
ドバイの各エリアの不動産価格については、後ほど詳しく見ていきます。
東京、ロンドン、シンガポール
ドバイと比較するにあたって、世界的に有名な都市であるロンドン、シンガポールをピックアップし、我が国の東京を加えて比べます。
一般財団法人日本不動産研究所の調査によると、東京の高級マンションの価格を2025年4月時点で100とした場合、ロンドンが205.2、シンガポールが140.4となります。
出典:日本不動産研究所 第24回国際不動産価格賃料指数(2025年4月現在)
高騰する東京のマンション価格が連日報道され、政治問題化しつつありますが、シンガポールは東京の1.4倍、ロンドンにいたっては2倍にもなっていることがわかります。
なお、この指数ではドバイは比較されていないため、別の統計で東京とドバイの不動産価格を比べてみます。
毎月首都圏のマンション価格を調査している東京カンテイによると、2025年6月時点で東京23区のマンション価格(70平方メートル換算)は1億333万円です。
同時期のドバイのアパートメント価格を70平方メートル換算で求めますと、127万3,415AED(約5,093万円)となりますので、東京の不動産価格指数を100とするとドバイは50.9となります。
出典:DXB Interact
指数が高い順に並べると、次のようになります。
ロンドン | 205.2 |
シンガポール | 140.4 |
東京 | 100 |
ドバイ | 50.9 |
世界の主要都市と比べると、ドバイの不動産価格はまだ割安ということがよくわかります。
過去の価格推移と今後の見通し
過去10年間のドバイ不動産価格は、コロナ禍で一時的な下落局面がありましたが、その後は上昇基調を維持しています。
年 | AED | 円 |
---|---|---|
2019年 | 981,850AED | 約3,927万円 |
2020年 | 886,186AED | 約3.544万円 |
2021年 | 1,023,084AED | 約4.092万円 |
2022年 | 1,242,888AED | 約4.971万円 |
2023年 | 1,231,861AED | 約4.927万円 |
2024年 | 1,268,881AED | 約5.075万円 |
出典:DXB Interact
今後も人口増加とインフラ投資が続く限り、価格の上昇余地は大きいと見られます。
ドバイ不動産の人気エリアと新興エリアの比較
投資対象として考える際、高級エリアと新興エリアでは価格水準も投資戦略も異なります。
不動産価格が高い人気エリア
すでに成熟し、ブランド力を持つエリアは価格が高騰している一方で、安定した需要を背景に安定した利回りを見込めます。
パームジュメイラ
人工島に広がる世界的に有名なエリアで、ビーチフロントの高級ヴィラやマンションが並びます。観光客や海外富裕層からの需要が強く、リセールバリューも高いため、資産保全の意味でも魅力的です。
高級リゾート地であるパームジュメイラはヴィラ(戸建て住宅)のほうが人気ですが、比較するためにアパートメント価格を示します。2025年6月時点で460万AED(約1億8,400万円)です。
出典:DXB Interact
ダウンタウンドバイ
ブルジュ・ハリファやドバイモールを中心に広がる都市の象徴的エリアです。観光・ビジネス両面で需要が絶えず、賃貸市場も活発です。価格は高水準ですが、安定した収益性が確保できます。
前述しましたが、2025年7月時点で、平均アパートメント価格が307万AED(約1億2,280万円)です。
出典:DXB Interact
ドバイマリーナ
ヨットハーバーを擁し、高級マンションが立ち並ぶ海辺の街並みが特徴です。レジャーと都市生活を兼ね備えたライフスタイルが人気で、外国人居住者や短期賃貸需要が旺盛です。2025年7月時点で、230万AED(約9,200万円)です。
出典:DXB Interact
割安で購入できる新興エリア
新興エリアは開発途上にある分、価格が抑えられており、将来の値上がり益を狙う投資家にとって有望です。
ジュメイラ・ヴィレッジ・サークル(JVC)
比較的手頃な価格帯の物件が多く、ファミリー層を中心に人気が高まりつつあります。今後の人口増加や開発進展に伴い、価格上昇が期待されます。
こちらも前述しましたが、2025年7月時点で97万5,000AED(約3,900万円)です。
出典:DXB Interact
ドバイ・サウス
エキスポ跡地の再開発エリアで、物流や空港アクセスの利便性が強みです。将来の経済拠点化が進めば、不動産価値の大幅な上昇が見込まれます。2025年7月時点で、145万AED(約5,800万円)です。
出典:DXB Interact
アル・ナハダ
住宅地として整備が進み、学校や商業施設が揃っているため生活利便性に優れています。比較的低価格ながら需要は安定しており、長期投資向きです。新興住宅地のため、「DXB Interact」ではまだ統計が公表されていません。
ドバイ不動産のオフプラン物件とレディプラン物件の比較
ドバイ不動産には、オフプラン物件とレディプラン物件があります。ここでは、両者の特徴と価格の違いを解説します。
オフプラン物件とは
オフプラン物件は建設前に購入契約を結ぶ物件で、完成後の価格より割安に入手できる可能性があります。初期投資を抑えたい場合やキャピタルゲインを狙う場合に適しています。
ただし、建設遅延や開発計画の変更といったリスクもともなうため、デベロッパーの信頼性を見極めることが重要です。
レディプラン物件とは
レディプラン物件は完成済みの物件を指し、すぐに賃貸に出せることがメリットです。安定的なキャッシュフローを重視する投資家に適していますが、オフプランより価格は高めになります。
ドバイに不動産投資をするメリット
世界の投資家がドバイ不動産に注目するのは、単に価格が割安だからではありません。ここでは、ドバイ不動産の投資対象としてのメリットを解説します。
- 不動産価値の上昇が期待できる
- 高利回りの家賃収入が得られる
- 投資家に有利な税制優遇制度がある
- 不動産購入による長期滞在ビザが取得できる
不動産価値の上昇が期待できる
ドバイは中東地域でもっとも経済が多角化している都市の一つであり、人口増加とインフラ開発が継続していることから、不動産価値の上昇余地は大きいと見られています。新空港や鉄道網の拡張、国際的な展示会・イベントの開催などが都市の魅力を高め、住宅需要を押し上げています。
高利回りの家賃収入が得られる
ドバイの賃貸住宅市場は、観光客による短期滞在需要と、外国人駐在員や移住者による長期滞在需要の両方を取り込んでいる点が特徴です。平均的な運用利回りは5〜9%とされ、ロンドンや東京の2〜4%前後と比較するとその高さが際立ちます。
観光業の拡大や外資系企業の進出によって、賃貸需要は今後も底堅く推移することが予想され、安定したインカムゲインを確保しやすい市場環境が整っています。
投資家に有利な税制優遇制度がある
ドバイでは所得税や固定資産税、キャピタルゲイン税が存在せず、売却益や賃料収入に対して課税されない点が投資家にとって大きな魅力です。多くの先進国都市では不動産所得や譲渡所得に対して高額な税負担が課されますが、ドバイではそのような税務コストがないため、投資収益を最大限享受できます。
ただし、日本人投資家がドバイ税制の恩恵を受けるためには、日本の非居住者にならなければいけません。
不動産購入による長期滞在ビザが取得できる
一定額以上の不動産を購入すると、ドバイでは長期滞在が可能となるビザを取得できます。ドバイにおける不動産投資は、生活拠点やビジネス拠点としての利便性を高める手段にもなります。「投資と生活の一体化」は、他の都市にはない独自のメリットといえるでしょう。
ドバイ不動産投資で注意すべきリスク
ドバイ不動産が魅力的な市場である一方、投資にはリスクも伴います。高いリターンを狙える分、冷静にリスクを把握しておく必要があります。ここでは、ドバイ不動産投資で注意すべきリスクについて解説します。
- 不動産バブルの懸念と価格変動リスクがある
- 為替リスクがある
- 日本のような融資は難しい
不動産バブルの懸念と価格変動リスクがある
ドバイの不動産市場は過去にも急激な価格上昇を経験しており、その後の調整局面では資産価値が短期間で下落する事例もありました。グローバルな資金流入に依存する傾向があるため、国際金融市場の変動によって価格が上下しやすい特性を持っています。
為替リスクがある
ドバイの通貨ディルハム(AED)は米ドルにペッグされているため、日本円との為替変動が収益に直接影響します。円安時には海外不動産投資全般が割高に感じられる一方、円高局面では資産価値が目減りする可能性もあります。こうした為替リスクを想定し、投資額や収益計算をシミュレーションしておくことが必要です。
日本のような融資は難しい
日本のように低金利で不動産投資ローンを受けやすい環境とは異なり、ドバイで外国人が利用できるローンは条件が厳しく、金利も比較的高めに設定されています。結果として多くの投資家は自己資金を中心に購入するケースが一般的です。
ドバイ不動産投資を成功させるためのポイント
高いポテンシャルを持つ市場であっても、成功するためには戦略的な取り組みが不可欠です。最後に、ドバイ不動産投資を成功させるためのポイントを3点に絞って解説します。
- 信頼できるパートナーを見つける
- リスクマネジメントを徹底する
- あらかじめ出口戦略を考える
信頼できるパートナーを見つける
現地市場に精通した信頼性の高い不動産仲介会社やエージェントを見つけることは、投資成功の第一歩です。透明性の高い情報提供や過去の実績、アフターサポート体制などを確認することで、トラブルを未然に防げます。
信頼できるパートナーがいれば、情報収集から購入、管理、法務、税務、売却まで一貫して安心して任せられる点も大きな利点です。
リスクマネジメントを徹底する
空室リスクや価格変動リスク、為替リスクなど、不動産投資にはさまざまなリスクが想定されます。複数のシナリオを想定し、慎重な投資計画の策定が重要です。
想定より賃料が下落した場合でも収益が確保できるか、為替が円高に振れた際にキャッシュフローにどの程度影響するかといった点を事前に検証しておく必要があります。レディプラン物件の購入に際しては、駆体と設備の点検、修繕履歴や保険の有無などを入念に確認しましょう。
あらかじめ出口戦略を考える
不動産投資は購入がゴールではなく、出口をどう設計するかが成果を左右します。購入時点から売却を見すえるのか、長期の運用を軸にするのかを明確にしておきます。
出口戦略の想定によって、予期せぬリスクに柔軟に対応でき、長期的に安定した投資成果を確保できます。
まとめ
ドバイ不動産は、世界主要都市と比較すると依然として割安であり、成長性と高利回りの両面を備えた投資対象です。経済の多角化と外国人に開かれた制度は、市場の持続的な発展を後押ししています。
一方で、価格変動リスクや為替リスクなど注意すべき点も存在します。投資成功の最大の鍵は、信頼できるパートナーと出会えるかどうかでしょう。
ドバイでの不動産投資にご興味をお持ちの場合は、当サイト「ドバイ不動産投資ガイドfor日本人」までお気軽にお問い合わせください。当サイトでは、ドバイ現地で不動産の情報を収集しており、不動産の賃貸や売買の仲介も行っております。
日本人のスタッフが中心に行っているため、英語ができない方や、ドバイに関する知見をお持ちでない方も安心してご利用頂くことができます。少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。