ドバイは、観光だけでなく、ビジネスシーンや海外移住でも世界中から注目されており、不動産投資においても最重要の国の一つとなっています。今回は、ドバイの基本情報から説き起こし、ドバイ不動産投資が注目される理由と踏まえるべきリスクについて詳しく解説します。
ドバイの基本情報
ドバイ不動産投資について解説する前に、ドバイの基本情報を解説します。
ドバイは国?
まず、「ドバイは国なのか」という点です。実は、ドバイは日本やアメリカ合衆国と同じ意味での「国」ではありません。
「ドバイ」といったときには、ドバイ首長国とドバイ市を指します。ドバイ首長国は、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国の一つです。ドバイ市は、ドバイ首長国の主要都市となります。
なお、ドバイ市はアラブ首長国連邦の首都ではありません。アラブ首長国連邦の首都はアブダビとなります。
ドバイの人口
ドバイの人口は日に日に増加しています。ドバイ統計センターの「Population Clock」によると、ドバイの人口は2024年9月現在377万人です。
人口の1割がアラブ人で、9割は外国人で構成されています。つまり、人口増はすべて移住者によって実現されているのです。外国人は出稼ぎの肉体労働者だけではなく、世界中から富裕層やビジネスパーソンが集まっています。
ドバイの経済
ドバイが世界中から注目されている理由は、その著しい経済発展にあります。
森記念財団都市戦略研究所が毎年発表している「世界の都市総合力ランキング」の2023年版において、ドバイは初めて8位にランクインされました。これは、世界の主要都市の総合力を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し、順位付けをしているものです。
ちなみに、世界の都市総合力ランキング1位はロンドン、2位はニューヨーク、3位は東京となっています。
ドバイはアラブ首長国連邦の一つの首長国であることから、産油国であるとよく誤解されます。オイルマネーによってドバイの経済的反映はつくられていると思われがちなのですが、アラブ首長国連邦の原油のほとんどはアブダビ首長国で採掘されています。
原油に頼れないぶん、世界中のビジネスを集め、ビジネス・ハブになることで経済発展するのが、ドバイの成長戦略なのです。そのために、金融・観光・貿易を3本柱として発展に力を入れており、Web3.0やブロックチェーン技術、AI、NFTなどの最先端技術の開発にも尽力しています。
日本人はドバイ不動産を購入できるのか
国によっては外国人が不動産を購入できないところがありますが、ドバイは世界中から富裕層やビジネスパーソンを集めているため、指定されたフリーホールドゾーン内であれば購入可能です。
もちろん、日本人も購入可能です。現地居住が条件ということもありません。非居住者でも購入できます。
ドバイ不動産が注目される理由
続いては、ドバイ不動産がなぜ注目されているのか、ドバイ不動産投資のメリットは何かについて解説します。
- 不動産価格が上昇しているからドバイの人口は今後も増加するから
- ドバイ不動産は価格がまだ割安だから
- 積極的な都市開発計画を行っているから
- ドバイは治安が良いから
- ドバイは税制が有利だから
- 不動産購入でビザの取得が可能だから
- イスラム教の戒律が比較的ゆるいから
不動産価格が上昇しているから
ドバイの経済発展と比例して、ドバイの不動産価格は上昇し続けています。
ドバイのDXB Interactが公表している不動産統計データによると、アパートメント(コンドミニアム)の価格は、2024年で128万AED(約4,900万円)となっています。コロナ禍の2020年には90万AED(約3,450万円)まで落ち込んだので、近年急上昇していることがわかります。
アパートメントも人気がありますが、ドバイではヴィラ(戸建て住宅)も非常に人気があり、2024年で3,353,544AED(約1億2,860万円)と価格上昇が著しくなっています。
参照元:DXB Interact
そして、今後もドバイ不動産の価格は上昇が見込まれています。
ドバイの人口は今後も増加するから
人口拡大は、不動産投資の基礎条件といえます。人口の拡大によって、住宅の需要と供給の関係が保たれ、価格が上昇していくからです。
逆に、日本のように人口減少が確定している国では、エリアを選ばないと不動産物件の供給が過多となり、不動産投資は失敗してしまうのです。
ドバイは外国人を積極的に受け入れており、今後も人口拡大が見込まれています。ドバイ政府の計画では、2040年までに人口を780万人にする予定です。現在の倍以上です。
人口の拡大によってドバイの不動産価格は上昇が見込め、キャピタルゲインを得る可能性が高まります。ビジネスパーソンが世界中から集中するため、賃貸住宅の需要も旺盛になると予想されます。キャピタルゲインだけでなく、家賃収入というインカムゲインも狙える客観的条件が揃っていると見て取れるでしょう。
ドバイ不動産は価格がまだ割安だから
ドバイの不動産価格が上昇していたとしても、すでに手の届かない価格帯に到達していたら、不動産投資は一部の富裕層にしかできません。
前章でも引用しましたが、アパートメントの平均価格は128万AED(約4,900万円)ですので、現段階では世界の他の都市と比較してもまだ割安といえます。東京とほぼ同程度で、エリアによっては東京よりも手頃な価格で入手が可能です。
積極的な都市開発計画を行っているから
2000年代初頭砂漠しかなかったドバイが、今日では超近代的な都市に生まれ変わったのは、ドバイ政府による継続的な都市開発計画があったからです。
ドバイ政府は今後も積極的な都市開発計画を実施する予定で、「ドバイ・都市マスタープラン 2040」では以下の目標を掲げています。
- 780万人への人口増加
- 既存と併せ5つの都市中心部の建設
- メトロ&トラムによる交通システムの充実
- 商業活動のための土地面積は168平方キロメートルに増加
- 公共ビーチの長さを400%増加
都市計画の明確な目標があるので、不動産価格の上昇、賃貸需要の充実が見込まれ、不動産投資の基礎的条件が完備されていると考えられます。
ドバイは治安が良いから
世界中から富裕層がドバイを移住先に選択している理由として、治安の良さが挙げられます。ドバイは、世界でトップレベルに治安の良い街です。治安の良さは外国人の定着に寄与し、人口の拡大にプラスに働きます。結果として、不動産投資にも有利に作用するでしょう。
Numbeo(ナムベオ)の都市別安全指数2023年版によると、ドバイは7位にランクインしています。日本も治安の良い国ですが、同調査によると東京が33位、大阪が106位です。
出典:Numbeo Safety Index by City2023
ドバイは税制が有利だから
ドバイが世界中から注目され、移住が相次いでいる一番の原因は、非常に有利な税制にあります。ドバイは世界有数のタックスヘイブンであり、所得税などがゼロになるので、非常に優位に資産運用ができるのです。
不動産取引に関わる税金に限定しても、譲渡所得税(キャピタルゲイン税)、固定資産税、不動産取得税、贈与税、相続税がすべて無税です。そのほか、所得税、住民税、金融所得税もゼロ。完全に非課税です。
たとえば、日本では累進課税制度が採用されているため、高額所得者は所得税・住民税が最大約55%にも上ります。これがすべてゼロになるため、資産運用においてとても大きなアドバンテージを得られます。
ちなみに、消費税(付加価値税・VAT)は5%、法人税が9%です。法人税ですが、小規模法人については優遇策があり、要件を満たすと無税になります。
不動産購入でビザの取得が可能だから
ドバイにおける不動産投資は、実需、つまり移住を考えている人にも有利です。ドバイは世界中からビジネスパーソンを集める政策を採用しているため、不動産投資をしてくれる人に積極的に滞在ビザを発行しています。
ドバイのゴールデンビザの有効期間は最大10年で、200万AED(約7,670万円)の不動産の購入などの一定の条件を満たすことで取得できます。もちろん、更新可能です。有効期間の長いビザの更新を繰り返して、事実上の永住状態を実現できます。
イスラム教の戒律が比較的ゆるいから
ドバイ移住を考えている人の中には、イスラム教の国である点に不安を持つ人もいます。ただし、ドバイはイスラム圏の中では比較的戒律がゆるく、それほど心配する必要はありません。
外国人にもイスラム教を厳格に適用すると、世界中からビジネスパーソンを集めるのが困難になります。そのため、ドバイでは外国人はお店でアルコールを飲めますし、豚肉料理も食べられます。公共の場でひどく酔っ払うなど、非常識な行動を取らなければ特に問題になりません。
ドバイの不動産投資におけるリスク
ドバイの不動産投資には、考慮すべきリスクもあります。最後に、ドバイの不動産投資におけるリスクについて解説します。
- 為替リスク
- 融資制度に制限がある
- 事業が頓挫するリスク
- 法制度が変更されるリスク
為替リスク
アラブ首長国連邦の通貨ディルハム(AED)はドルと連動しているため、新興国にありがちな通貨危機とは無縁です。
ただし、円で所有していた資産をAEDの資産に組み換え、将来円に戻す際は、ドル円の変動によっては為替差損が発生します。円安が進行すると現地の不動産価格は高額になるため購入が難しくなり、円高が進行すると購入しやすくなる傾向にあります。
融資制度に制限がある
日本で不動産投資をする際は、金融機関の融資を活用するのが一般的です。つまり、レバレッジをかけて不動産投資の効率を高めるのですが、ドバイでそのような手法を活用するには、制限があります。
ドバイでは住宅ローンを投資用にも活用できますが、オフプラン(計画中のもので新築物件)への適用は難しく、レディプラン(完成済みの中古物件)のみとなります。
さらに、レディプランであっても頭金の差し入れを50%求められるケースもあり、自己資金を多めに用意しないと不動産投資ができません。また、非居住者よりも居住者が優遇される点もふまえておきましょう。
事業が頓挫するリスク
ドバイ不動産の開発を進めるデベロッパーの倒産、何らかの事情による開発プロジェクトの中止など投資しようとした不動産開発事業が頓挫するリスクがあります。とくに現地に居住しないで日本に在住する投資家は、情報の入手が遅れる事態も考えられます。
ただし、現在のドバイではエスクロー制度というものがあり、物件の代金は直接デベロッパーに支払われずに、いったんエスクロー会社に支払われます。万が一、デベロッパーが倒産をした場合には、エスクロー会社から投資家に資金が戻ります。
法制度が変更されるリスク
金融や経済の仕組みを整備しているドバイではあまり考えられませんが、税制などの法制度が急に改変され、投資家に不利な制度になるリスクも考えられます。税率の変更は考えられるため、情報のアンテナは張っておくようにしましょう。
まとめ
ドバイは、これから十数年も人口の爆発的増加が予想され、世界中から富裕層や高所得ビジネスパーソンが集まるなど、不動産投資に申し分ない有利な条件が揃っています。
これから人口減少・超高齢化社会が宿命付けられている日本と比較しても、大きなアドバンテージがあるのがわかります。
ただ、どんなに条件の良い投資でも、海外不動産は日本国内の不動産投資と決定的に違う面が存在します。それは、正確な情報を入手しづらいということです。精度の高い情報を入手するにはコストがかかるということです。
正確な情報がなければ、正しい投資判断はできません。そのため、海外不動産投資というのは、「何を」買うのかよりも「誰から」買うのかが極めて重要になります。
ドバイ不動産投資も例外ではありません。信頼のおけるエージェントを探し、エージェントを戦略的パートナーとして不動産投資に取り組む必要があるのです。